1996 Fiscal Year Annual Research Report
高等動物において遺伝子導入が可能なトランスポゾンベクター系の開発
Project/Area Number |
07554067
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Section | 試験 |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仁田坂 英二 九州大学, 理学部, 助手 (60222189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 靖 大分医科大学, 医動物学研究室, 教務員 (00244161)
行弘 研司 農林水産省蚕糸研究所, 主任研究官
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Keywords | トランスポゾン / ショウジョウバエ / カイコ / 力 / ベクター / 形質転換 |
Research Abstract |
DNA溶液中に細胞を懸濁し、高電圧をかけることで遺伝子導入を行うエレクトロポレーション法は現在哺乳動物や、高等植物で頻繁に行われており、操作の容易さや数多くの個体を一度に処理できる点などいろいろと長所がある。我々はこの方法をキイロショウジョウバエへの遺伝子導入に利用できるようにするための予備実験を行った。具体的には、コリオン膜を取り除いたショウジョウバエ受精卵をDNA溶液を含む緩衝液中に懸濁し、矩形波をかけてその後発生した幼虫に遺伝子導入がなされたか調べた。このときのレポーター遺伝子としてキイロショウジョウバエのアミラーゼ遺伝子を用いた。その結果、幼虫でアミラーゼ活性が検出され、transientなレベルで導入された遺伝子が発現していることが示された。現在P因子ベクターが実際にゲノム中に挿入されるか実験をおこなっている。 またショウジョウバエのトランスポゾンの1種であるI-elementの進化に関する研究も引き続き行った。I-elementの起源を知る目的で、キイロショウジョウバエから離れたmontium種亜群とScaptodrosophila亜属から相同なIelementであることが確かめられたクローンを単離し、それらの系統関係は宿主の系統関係と同様の関係となり、これらの種分化以前よりあると思われた。 カイコのトランスポゾンに関する研究では、カイコのSINE様因子であるBm1の完全型の起源を知り、この因子の転移を支配する逆転写酵素の由来を明らかにするために、15の完全型因子(Bm1.1)の塩基配列を決定しコンセンサス配列の推定を行った。この結果、Bm1.1はtRNA相同領域内の3塩基サイトにおける塩基の変異により2種類に分類されるとともにこの2つのサブセット内の変異量は塩基多様度として約9%に達することが判明した。このことより、Bm1.1のコピー数の増幅は相当古い時期に生じたものと考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Sezutsu,H.: "Evolution of the LINE-like retrotransposon I element in the Drosophila melanogaster species subgroup." Molecular and General Genetics. 249. 168-178 (1995)
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[Publications] Nitasaka,E.: "New alleles of eye color mutations isolated from natural populations in Drosophila melanogaster." Drosophila Information Service. 76. 79 (1996)
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[Publications] Nitasaka,E.: "The molecular analysis of brown eye color mutations isolated from geographically discrete populations of Drosphila melanogaster." Molecular and General Genetics. 247. 164-168 (1995)
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[Publications] 田村: "カイコの多重遺伝子及び反復配列遺伝子を利用したDNA多型解析技術の開発" 蚕糸・昆虫農業技術研究所報告. 16. 31-40 (1996)
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[Publications] Yukuhiro,K.: "Preferential codon usage and two types of repetitive motits in the fibroin gene of Chinese oak silkworm,Antheraea pernyi." Insect.Molecular Biology. 6. 89-96 (1996)
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[Publications] Nagaraju,J.: "Attempt at transgenesis of the silkworm(Bombyx mori L.)by egg-injection of foreign DNA." Appl.Entomol.Zool.31. 587-596 (1996)
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[Publications] Nitasaka,E: "Current Topics on Molecular Evolution:Isolation of mating behavior mutations in Drosophila melanogaster" Nei,M.and Takahata,N., 260 (1996)