1996 Fiscal Year Annual Research Report
磁場援用アーク放電プラズマジェットによる透明ダイヤモンド板合成装置の試作
Project/Area Number |
07555037
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 昌範 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30016422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 敦 東京工業大学, 工学部, 助手 (50242277)
戸倉 和 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016628)
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Keywords | 磁場 / アーク放電 / プラズマジェット / ダイヤモンド / 気相合成 / 透明 |
Research Abstract |
昨年度に設計,試作した磁場援用アーク放電プラズマジェットCVD装置によりダイヤモンド合成を行った.磁場を印加しない場合,中央部で厚い山形のダイヤモンド膜が得られるが,磁場を印加すると中心部の膜厚分布が均一化されることがわかった.この膜厚が均一化される領域は磁束密度の増加とともに拡大した.また,膜厚分布とともに,結晶の配向や粒径の分布の変化が均等化されることを走査型電子顕微鏡観察により明らかにした.そして,結晶性をラマン分光分析により調べ,良質のダイヤモンドが成長する範囲が,磁場の印加とともに拡大することを明らかにした.これは,磁場を印加することにより,プラズマト-チ内でアークが回転運動をし,温度や速度の均一なプラズマジェットが生成され,ダイヤモンド合成に寄与する活性種の分布が拡大するとともに均一化するためと考えられる. 次に,光透過性に優れるCVDダイヤモンド膜の合成条件について検討した.光透過性には結晶の純度や完全性が関係するといわれており,より安定した成長条件が必要であるため,原料メタンガスの供給量を低くし,成長速度を10μm/hと低くした.得られたダイヤモンド膜の表面をダイヤモンド砥石により研磨し,赤外分光光度計で分析した結果,波長10μmで約68%の透過率を示すことを明らかにした.これは,天然ダイヤモンドの透光性に匹敵する値である.そして,ダイヤモンド膜の断面組織を観察し,光透過性に優れるダイヤモンド膜は欠陥や不純物の少なく,安定した結晶成長をしていることを明らかにした.
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