1995 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体を用いた押出し高分子絶縁直流超伝導ケーブルの試作研究
Project/Area Number |
07555090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小崎 正光 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (80023191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村本 裕二 (株)フジクラ, 基盤材料研究所, 助手 (70273331)
河野 宰 (株)フジクラ, 基盤材料研究所, 超伝導研究部長
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Keywords | 高温超伝導体 / 押出し高分子絶縁 / エチレンプロピレンゴム / 直流超伝導ケーブル |
Research Abstract |
本研究で試作したモデルケーブルは、コアパイプ上にテープ状に成形されたビスマス系の高温超伝導体を配置し、半導電層を含めたエチレンプロピレンゴム(EPR)絶縁を被せた構造のものである。本研究は、このモデルケーブルの試作とそれに伴う超伝導導体を含めたケーブルの導体部分の問題点の評価とEPRを主絶縁とした電気絶縁部分の問題点の評価を行ってきた。まず超伝導体及び安定化銅パイプ部分のケーブル作製時の最適化、モデルケーブルによる直流臨界電流の測定および冷却時のクエンチ電流に及ぼすEPRゴムの収縮により超伝導体に掛かる応力の影響を測定し評価した。その結果、安定化銅パイプ外周上の高温超伝導体との接触状況が繰り返し冷却試験を行った後でも良好であったこと、モデルケーブルにおける直流臨界電流が超伝導導体そのものが持っている流し得る電流とほぼ同じであったことやクエンチ電流に及ぼす極低温におけるゴムの収縮の影響がほとんどないことが確認された。また極低温におけるEPRの耐トリ-イング性を含めた電気絶縁特性においても他の高分子に比べて値的に優れていることが実証された。このような成果から判断してモデルケーブルは、従来のCVケーブルの直流化を阻んで来た障害の克服につながるものと考えられ、押出し高分子ケーブルの超伝導化と直流化が同時に実現されるものと思われる。超伝導ケーブルの直流化は、交流仕様における渦電流や誘電正接による発熱や部分放電に伴う劣化などの諸問題を払拭するという画期的な成果をもたらす。従って、本直流高温超伝導モデルケーブルの試作から得られる成果は、将来の電力系統の地中送電方式において主要な役割を果たすことが期待される直流高温超伝導ケーブルへの展望を開かせるものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小崎正光: "押出しエチレンプロピレンゴム(EPR)絶縁超伝導ケーブルの課通電試験" 電気学会論文誌B. 115-B. 1501-1507 (1995)
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[Publications] Y.Muramoto: "Self-healing breakdown of polyimide thin films in the cryogenic temperature region" Cryogenic. 35. 791-794 (1995)
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[Publications] M.Kosaki: "Development and tests of extruded ethylenepropylene-rubber-insulated superconducting cable" Cryogenic. 35. 805-808 (1995)
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[Publications] 石田隆弘: "超低周波電圧を利用した群小部分放電の定量的評価" 電気学会論文誌B. 115-B. 1174-1178 (1995)
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[Publications] 水野幸男: "極低温におけるエチレンプロピレンゴムの誘電正接-配合剤および試料厚さの効果-" 電気学会論文誌A. 115-A. 697-703 (1995)
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[Publications] 水野幸男: "高磁界下における液体窒素・ポリエチレンフィルム複合絶縁系の部分放電" 低温工学. 30. 387-391 (1995)