1995 Fiscal Year Annual Research Report
時間地図作成手法の開発と地理情報システムの空間分析機能としての実用化
Project/Area Number |
07555165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 英範 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50196507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟 朝幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60262036)
川口 有一郎 明海大学, 不動産学部, 講師 (30245162)
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Keywords | 時間地図 / 地理情報システム / 多次元尺度構成 |
Research Abstract |
通常の地図(実地図)が距離を縮尺の単位とするのに対し、時間地図は時間と縮尺の単位とする。時間地図によって、地域の交通整備水準を視覚的かつ印象的にプレゼンテーションできる。本研究は、筆者らが考案した時間地図作成手法に対して実用性の観点から改良を加え、これを地理情報システムにおける汎用的な空間解析機能に仕上げることを目的とした。 筆者らの手法は、時間地図作成を実地図から時間地図への写像と捉え、地点間の時間距離行列を所与として最小二乗法で写像関数を推定するものである。この考え方は理論的に明快であるが、非線形な問題であるため、写像関数の設定やパラメータの初期値の設定に多大な試行錯誤を要するなど実用化の観点から問題があった。本研究では、理論を大きく逸脱しない範囲で、(1)解の一意性が保証される問題に置き換え、自動化する、(2)人間の視覚的判断能力を組み合わせたマンマシンシステムとする、という基本方針をたてた。まず、時間地図作成を、時間距離が与えられている地点を配置する多次元尺度構成(MDS)、これを基準点とした地図要素の内挿、の2つの過程に整理した。MDSでは、三辺測量の方法で地点を順次配置する方法とした。三辺測量の調整問題では、一般に一意の解が得られ、他の場合も2〜3点の解となる。これを利用し、複数解を計算機画面に表示し、時間地図として解釈しやすい点を人間が選択するマンマシンシステムとした。内挿の過程は、地図を分割し、各部分ごとに解の一意性が保証されるアフィン変換を推進する方法とした。これにより、地図要素の連続性、位相性は保たれないが、計算機が自動描画した地図要素を参考に人間が容易に地図を修正、加工できる。提案したシステムの操作性はきわめて高く、地理情報システムの機能として十分利用しうるものであることを確認した。
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