1995 Fiscal Year Annual Research Report
塩素・酸素混合ガスによる鉄スクラップからの銅,亜鉛,錫の除去
Project/Area Number |
07555227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 和宏 東京工業大学, 工学部, 教授 (70114882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 整司 川崎製鉄(株), 鉄鋼研究所, 部長
須佐 匡裕 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90187691)
丸山 俊夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20114895)
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Keywords | スクラップ / 鉄 / 銅 / 亜鉛 / スズ / 塩素 / 酸素 |
Research Abstract |
1.緒言:本研究で対象とする鉄スクラップは,モーターのコイルやトタン,ブリキなどのように不純物が物理的に接触している状態のいわゆる市中屑である.この方法では酸素と塩素の混合比を調整する事により,鉄の表面に酸化保護膜を生成する一方,銅や亜鉛,スズは塩素と激しく反応して塩化物ガスとなり除去される.しかし,塩素ガスを使う方法は環境等問題がある.本研究では塩素源として塩化カルシウムを用いる方法も検討した. 2.原理:塩素ガスに酸素を混入した雰囲気では金属は酸化して表面に形成する.このような領域があることが熱力学的に示された.塩化カルシウムにシリカを加えると珪酸カルシウムを生成し,同じ酸素分圧でも塩素ガス分圧は増大して目的とする反応を起こすことを熱力学的に示した. 3.実験と結果:試料の大きさは銅板が10×10×3(mm)と10×10×1(mm)の2種類,鉄板は10×10×1(mm)でさらにこの鉄板に直径1mmの銅線を2巻したものである.透明石英管内に試料を磁製ボ-トに乗せ入れて,所定の温度になった時0_2-Cl_2混合ガスを流して反応を開始させた.0_2-10%Cl_2混合ガスを1200Kで反応させた場合,銅板や銅線は激しく塩化しガスとなって石英反応管の出口近傍に析出した.鉄の塩化物の析出は見られなかった.30分間反応後の試料では鉄板の表面に酸化鉄膜が生成し,銅は全て無くなっていた.1000K以下の温度では銅板は塩化銅の一部が凝固して試料下部に残存していた.鉄板の減量速度(錆を除いた部分)には2.7×10^<-4>kg・m^<-2>・s^<-1>である.銅板の重量減少速度は1.0×10^<-3>kg・m^<-2>・s^<-1>である.また,塩化カルシウムとシリカ粉末に試料を埋め酸素ガス雰囲気下で反応させたところ,1000K近傍で,銅は塩化し除去された.温度が高い場合,塩素ガスの発生が早く,銅が全て塩化する前に塩素ガス発生反応が終了してしまい残りは酸化される.反応速度論的に適正な温度がある.
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