1995 Fiscal Year Annual Research Report
吟醸酒の次世代ファジィ制御を目的としたオンライン制御システムの開発
Project/Area Number |
07555257
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 猛 名古屋大学, 工学部, 教授 (10043324)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深谷 伊和男 愛知県食品工業技術センター, 発酵技術部, 主任研究員
新海 政重 名古屋大学, 工学部, 助手 (70262889)
|
Keywords | 吟醸酒 / ファジィ制御 / ニューラルネットワーク / 麹 / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
(1)現在までに作成したファジィルールに従って実験室レベルでの吟醸酒の小仕込みを行い、時系列サンプルを集め、各種の糖、アルコール、エステル類、アミノ酸等の濃度をオフラインで詳細に分析した。また、固形物も同時にサンプリングし、固形分率、酵母濃度、酵素活性、細胞膜脂質含量も分析して、吟醸酒もろみ工程での詳細な実験データを取得した。 (2)清酒もろみ工程は固形物としての米の溶解、および溶液中での酵母による発酵が同時に進行する複雑なシステムであるが、これまでに数種の構造モデルが提案されている。そこでこれらのモデル式をベースにして吟醸酒の生産に対する新しいモデル式を考案した。(1)の結果をこの式のパラメータ決定に使用し、オフラインの収集データは時系列データとしては不十分であるため、データを補間した上で多種類の分析値から最適なパラメータを探索した。この研究結果とファジィ制御によるもろみ工程の品質制御、ニューラルネットワークを用いた吟醸酒の品質評価などのこれまでの研究結果をさらに発展させて、ファジィニューラルネットワークを用いたもろみ工程のシミュレーターの構築と遺伝的アルゴリズムを用いたもろみ工程の最適品温軌道の決定が可能なようにした。 (3)清酒メーカーでは過去の多くの醸造データを保有している。これらのデータに基づいて、ファジィニューラルネットワークによる吟醸酒醸造制御用ルールの自動抽出を試みた。このルールによる総米100kgの試験仕込も行い、その有効性を確認した。 (4)麹は吟醸酒の品質に大きな影響を与える。そこで、清酒メーカーに蓄えられている麹の品質(酵素力価)と麹製造工程の温度履歴に関する時系列データを用い、遺伝的アルゴリズムにより最適な麹製造の温度軌道を探索した。この結果を実際の麹プロセスに応用し、良い結果が得られることを確認した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 各務彰洋ら: "ニューラルネットワークによる吟醸酒の官能評価値から総合評価値の推定" 生物工学会誌. 73. 199-205 (1995)
-
[Publications] 花井泰三ら: "ファジィ推論を用いた吟醸もろみ制御試験" 生物工学会誌. 73. 283-289 (1995)
-
[Publications] 各務彰洋ら: "ニューラルネットワークと遺伝子アルゴリズムを用いた吟醸酒の品質モデリング" 生物工学会誌. 73. 387-395 (1995)
-
[Publications] 本多裕之ら: "画像解析による麹菌体量の推定" 生物工学会誌. 73. 409-412 (1995)