1997 Fiscal Year Annual Research Report
新規レドックス系による還元手法を用いる生理活性化合物の選択的高効率合成
Project/Area Number |
07555288
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 俊一 大阪大学, 工学部, 教授 (90116088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 功 大阪大学, 工学部, 教授 (70029049)
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Keywords | 触媒 / 還元反応 / ピナコールカップリング / レドックス系 / 生理活性化合物 / 全合成 |
Research Abstract |
本研究では、生理活性物質合成における鍵反応として適用でき、従来にない合成ルートを可能にする、レドックスに基づいた新規な官能基変換法を開発してきた。この変換法をしてきた。前年度までの研究をふまえ、下記に示した研究結果を得た。 1)バナジウムによる一電子還元反応に基づいた、カルボニル化合物のピナコールカップリングにおいて、溶媒をジメトキエタンからテトラヒドロフランに変えると、生成物はジオキソランからジオールになることが判明した。前者が生成する場合には、基質のアルデヒドが一当量無駄になるが、このように単に溶媒を変えるだけで、反応の効率化がはかれた。触媒にチタン化合物を用いた場合には、いずれの溶媒を用いてもジオキソランのみを与え、両者の間に大きな差異が見られた。 2)反応温度が与える影響について検討した結果、低温での反応ではバナジウム触媒を用いてもジオキソランが生成した。すなわち、生成物の選択性は反応温度にも依存することが判明した。また、反応温度を上げると、反応のジアステレオ選択性が低下し、dl体の生成比が減少することが明らかになった。 3)反応のジアステレオ選択性は反応基質の立体化学に依存し、立体障害の大きいアルデヒドのピナコールカップリングでは、バナジウム一電子還元触媒系を用いれば、高いdl選択性が発現できることが明らかになった。さらに、触媒系を形成させるため共存させたクロロシランの立体化学の違いがジアステレオ選択性に反映されることが判明した。 4)以上の結果は、薬理活性を有するProtease Inhibitor A-77003の全合成における基軸反応として、重要で有用な高選択的炭素-炭素結合形成法であると評価される。
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