1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07555291
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 剛 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (40016738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 裕之 旭電化工業, 新材料研究所, 研究員
野村 亮二 東京工業大学, 資源化学研究所, 教務職員 (40242317)
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Keywords | 重合 / 硬化 / 潜在性触媒 / ビニルエーテル / カルボン酸エステル / 重合触媒 |
Research Abstract |
潜在性触媒とは通常の条件下では活性を示さず、ある特定の外部刺激に応答して活性を示す触媒と定義され、高分子化学においては工業的にも重要な重合、硬化触媒である。しかしながら従来の潜在性触媒は各種オニウム塩構造を有しており、潜在性触媒としては熱や光といった外部刺激に対して高い活性を示すものの、塩構造に起因して有機溶媒への溶解性が低いという欠点を有していた。したがって、触媒活性の評価、触媒とモノマーとの一液化など、実用面において多くの諸問題を引き起こす。そこで当該年度においては、触媒活性を低下させず、かつ各種有機溶媒に対して大きな溶解性を示す触媒の設計と合成を目的とし、塩構造を持たない新しいタイプの潜在性触媒の開発を検討した。触媒としては種々のカルボン酸を選択し、ビニルエーテル類の重合に対しての活性を評価、検討した。その結果、酢酸エステル、トリフルオロ酢酸エステル類は熱潜在性触媒としての活性が認められることを見い出した。さらに、重合系には二つの活性種、すなわち重合末端はエステル種とイオン種の二つが存在し、それらが重合中平衡として存在していることが確認された。また、イオン種のみが生長反応に関与し、エステル種は重合には活性を示さないことが示唆された。本研究で検討した触媒は合成が容易であり、保存や取扱においても高度な技術は一切要求されず、工業的な規模での応用も十分に可能であると考えらることからも、本研究は高分子合成化学のみならず化学工業への多大なる貢献をなすものであると確信できる。
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[Publications] T.Moriguchi: "Possibility of Carboxylic Acid Esters as Thermally Latent Initiator" Macromolecules. 28. 4334-4339 (1995)
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[Publications] S.B.Lee: "Hydrazinium Salts as Novel Thermally Latent Bronsted Acid-Inducing Initiator" Chem.Lett.287-238 (1995)
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[Publications] S.Nakano: "Cationic Polymerization of Glycidyl Phenyl Ether Benzylammonium Salts" J.Polym.Chem.Polym.Chem.Ed.33. 505-512 (1995)