1996 Fiscal Year Annual Research Report
走査型マルチプローブ環境顕微鏡の試作と腐食損傷初生過程のその場観察
Project/Area Number |
07555347
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
駒井 謙治郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (70025948)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨士元 英二 北斗電工株式会社, 技師長
三沢 俊平 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (17921838)
箕島 弘二 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50174107)
|
Keywords | マルチプローブ環境顕微鏡 / 腐食 / その場観察 / 微小電極 / 水素イオン濃度 / 塩素イオン濃度 / 腐食電流密度 / 局部腐食 |
Research Abstract |
本研究では、腐食環境中における腐食損傷・き裂発生過程の腐食電流密度分布のみならず,水素・塩素イオン濃度分布などの複数イオンの局在化分布を,経時的にかつリアルタイムでマッピング測定が可能な走査型マルチプローブ環境顕微鏡を試作した。本システムは,腐食電流密度分布を測定する走査型振動電極システムに加え,イオン選択性電極を用いて水素イオン濃度(pH)や塩素イオン濃度分布を測定する複合システムとなっている。とくに,イオンの局在化分布を試料電位の影響を受けずに精密に測定するためには,試料をグランドから完全に浮かせて測定する必要があり,この仕様を満足するようにバイポテンショスタットを特別に試作した。本環境顕微鏡を用いて,腐食電流密度分布が精度良く測定可能でることを示すとともに,塩素イオン濃度が測定可能なμmオーダのAg/AgCl電極を試作し,試料電位によらず試料表面近傍の塩素イオン濃度が測定できること,また,本電極はpHの影響をほとんど受けずに塩素イオン濃度を測定可能であることを示した。さらに,Pt微小電極を用いて,電極を高周波で分極したときに電極に流れる過渡微小電流を測定することにより,同一電極を用いてpHと塩素イオン濃度が同時に測定可能となることを明らかにした。本手法は,先に述べたAg/AgCl電極と比較すると,同一電極により,腐食損傷に大きな影響を与える塩素イオン濃度とpHが測定可能である点,電極反応時間が極めて短い点,さらに,複数の塩素イオン濃度センサーとpHセンサーを使用する手法と比べて,pHや塩素イオンマップの位置補正を必要としない利点があり,複数センサーと比較すると優れたセンサーであることを明らかにした。
|