1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07555383
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 隆平 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (90103936)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷下 一夫 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
中野 和夫 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (30016761)
|
Keywords | 流体工学 / 壁せん断応力 / 限界電流法 / レーザ流速計 / 壊蝕 / 拍動流 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
血管病変が血管分岐など動脈の局所に発生すること,および流体輸送機器の重要な配管要素の一つである分岐管の接合部に腐食・壊蝕が頻発する.このような病変の発生,および配管の腐食・壊蝕に流体力学的因子が関与することは明らかである.とくに管壁面に作用する壁せん断応力の分布を解明するには,まずその測定法の確立が要求される.本課題では,これまで速度分布などから間接的にしか測定できなかった液体流の壁せん断応力測定を,電解液を用いた電気化学的な唯一の直接測定法で確立およびセンサの開発を試みる. (1)本年度の第一の課題は,血流のように周期的変動した場合の周波数特性の検討である.実験では,前年度作成したスコッチヨ-ク型の低振動流発生装置を用い,生体内血管の血流の拍動に対応した無次元振動数3,6および10の場合,試験電極の追従性はほぼ満足できるものであった.無次元振動数が15以上では,位相の遅れが大きく,かつ振幅が正弦波から三角波に移行するため,有効な無次元振動数の範囲は10以下に限られる. (2)線径0.5mmの電極を用いた場合,乱流域における電気化学的測定によりえられた壁せん断応力測定の有効適用範囲を検討した.非接触測定法の代表例であるレーザドップラ流速計により測定した壁近傍の速度勾配から評価した壁せん断応力と比較検討した.その結果,層流域を越えたレイノルズ数4000程度までは十分な結果を得たが,これ以上の乱流域で測定された電気化学的方法による結果は厳密な結果の2倍以上に過大評価されることが明かとなった. (3)枝管がほぼ直角に分岐する腎動脈,血管が合流と同時に分岐する脳前交通動脈および呼吸器を模した対称分岐流れ場などの生体における血流,呼吸器流れと循環器障害発生部位について電気化学的手法による検証を試みた.さらに,壁面せん断応力センサである白金の端面の面積依存性を検討した結果,加工上線径0.5mmが適することを,無次元振動数が10以下であれば,本測定法は十分な追従性を示した.高分子溶剤で電極を埋め込み後には接着溶剤の収縮による残留応力をアニーリングにより除去することが求められた.
|
-
[Publications] 増井秀行: "直角分岐枝管の入り口コーナ回りの剥離流れ" 日本機械学会流体工学部門講演論文集. 96-9. 207-208 (1995)
-
[Publications] 山口隆平: "対称Y型分岐を通る振動流の非対称性と二次流れ" 日本機械学会論文集(B編). 62. 3250-3256 (1996)
-
[Publications] Yamaguchi,R.: "Sinusoidal Oscillating Flow through Asymmetrical Bifurcation Flow" ASME Advances in Bioengineering. 33. 183-184 (1996)
-
[Publications] Ujiie,H.: "Hemodynamic Study of the Aterrior Communicating Artery" Stroke. 27. 2086-2094 (1996)
-
[Publications] 山口隆平: "直角分岐管の分岐点回りの壁せん断応力と枝管流れの変動" 日本機械学会論文集(B編). 63. 123-130 (1997)