1996 Fiscal Year Annual Research Report
ERアクティブダンパを用いた微振動制御システムの開発研究
Project/Area Number |
07555395
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中野 政身 山形大学, 工学部, 助教授 (40147947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一寿 シーケーディ(株), 空圧事業部, 研究員
浅子 佳延 (株)日本触媒, 筑波研究所, 主任研究員
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Keywords | 分散系ER流体 / 高分子液晶 / 動的粘弾性特性 / ERダンパ / アクティブダンパ / 振動制御 / 微振動 |
Research Abstract |
本研究では、すでに両端にメタルベローズと受圧板からなる伸縮する二つの液室をもち、その間に円筒形状の固定電極群からなるERバルブを配置して両液室を連結した完全密閉形の構造をもつ拮抗形のベローズERダンパを開発している。本年度は、典型的なER流体として粒子分散系ER流体と液晶系ER流体(高分子液晶)を用いた場合について、開発した拮抗形のベローズERダンパの減衰力特性について各ER流体固有の動的粘弾性特性との関連から検討するとともに、バネ・マス・ERダンパから成る1自由度振動系の効果的な除振制御法についても検討している。 まず、基本的な二枚の平行平板電極からなる二次元流路内のER流体の往復振動流の動的粘弾性を測定する装置を用い、流体歪εと圧力差ΔPを定義することにより両者の関係から動的粘弾性特性を評価している。粒子分散系ER流体の動的粘弾性は流体歪振幅ε_0と電場強度Eに対する依存性が顕著でε_0が小さくEが増大するほど弾性的な特性が顕著になることや、高分子液晶では周波数が高くなるにつれて弾性的特性が著しくなることなどを明らかにしている。さらに、分散系ER流体については、流体歪み速度に比例した電圧の平方根を電極間に印加することによりER流体の動的粘弾性を制御でき、微小流体歪み振幅領域から純粘性流体として振る舞わせることができることを提示している。 さらに、開発したERダンパへの電圧入力方法の違いやダンパ受圧面積の変化によるダンピング特性の変化を実験的に明確にしている。分散系ER流体ではダンパ速度の平方根をフィードバックすることによりそのゲインによって減衰比が可変となる線形的なダンパが構築できることを実証している。高分子液晶では1.0kV/mm程度まではEの増大に伴いほぼ線形的に減衰比が増加するがそれ以上の高電場下では飽和する特性を示すことを明らかにしている。また、除振制御に関しては、マス速度に比例した電圧の平方根をERダンパにフィードバックするアクティブダンパとしての効果的な制御法を提案しその効果を実験的に検証するとともに、ダンパ受圧面積を減少することにより除振性能が向上でき、微少振動でも性能の劣化が少なくなることなどを見い出している。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] M.Nakano: "Steady and transient responses of electrorheological suspension passing through a rectangular channel." International J.of Modern Physics B. 10-24&25. 2965-2972 (1996)
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[Publications] M.Nakano: "A novel semi-active control of automobile suspension using an electrorheological shock absorber." Proc.of 5th International Conference on ER Fluids,MR Suspensions,and Associated Technologies. 645-653 (1996)
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[Publications] Y.Asako: "Properties of electrorheological fluids containing sulfonated poly(styrene-co-divinylbenzene)particles" International J.of Modern Physics B. 10-23&24. 3159-3166 (1996)
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[Publications] M.Nakano: "Antagonized bellows active damper using ER suspension and its application to vibration isolation control." Proc.of 5th International Conference on New Actuators. 328-331 (1996)
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[Publications] 小西正芳: "分散系ER流体のせん断流れ場と圧力流れ場におけるER効果の比較(第1報:DC電圧印加時)" 日本機械学会第73期通常総会講演論文集. No.96-1(III). 203-204 (1996)
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[Publications] 相澤龍司: "分散系ER流体のせん断流れ場と圧力流れ場におけるER効果の比較(第1報:AC電圧印加時)" 日本機械学会第73期通常総会講演論文集. No.96-1(III). 205-206 (1996)
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[Publications] 中野政身: "分散系ER流体の二次元流路内振動流の動的粘弾性特性" 日本機械学会第73期通常総会講演論文集. No.96-1(III). 211-212 (1996)
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[Publications] 中野政身: "ERアクティブダンパによる振動制御(拮抗形ERダンパによる検討)" 日本機械学会第73期通常総会講演論文集. No.96-1(III). 213-214 (1996)
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[Publications] 永島輝久: "カーボンブラックグラフトポリマーを用いたER流体の特性" 日本機械学会第73期通常総会講演論文集. No.96-1(III). 219-220 (1996)
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[Publications] 伊藤一寿: "空気圧シリンダの速度制御におけるER流体の応用" JSMEロボティックス・メカトロニクス'96講演会講演論文集. Vol.B. 1237-1240 (1996)
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[Publications] 浅子佳延: "分散系電気粘性流体" トライボロジスト. 41-6. 48-53 (1996)
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[Publications] 川合章子: "ER効果に及ぼす粒径の影響と誘電特性" 第44回レオロジー討論会講演要旨集. 219-222 (1996)
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[Publications] 中野政身: "分散系ER流体の二次元流路内振動流の動的粘弾性" 第44回レオロジー討論会講演要旨集. 223-226 (1996)
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[Publications] K.Ito: "Application of ER Fluids in Pneumatic Cylinder Speed Control" Proc.of 3rd JHPS International Conference on Fluid Power. 675-676 (1996)
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[Publications] 中野政身: "分散系ER流体と液晶系ER流体を用いた拮抗形ベローズダンパのダンピング特性の比較" 日本機械学会第74期通常総会講演論文集. No.97-1(I)(発表予定). (1997)
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[Publications] 中野政身,他: "メカトロニクス機器の電気粘性流体を用いた制御に関する研究分科会成果報告書" 日本機械学会, 161 (1996)