1996 Fiscal Year Annual Research Report
外科医の意思通りに動くマイクロサージェリーハンドの開発
Project/Area Number |
07555400
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑村 洋太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40010863)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 哲夫 東京女子医科大学, 教授 (30082126)
佐藤 知正 東京大学, 先端科学技術センター, 教授 (50235371)
中尾 政之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90242007)
|
Keywords | 外科手術 / 骨掘削 / 力センサ / 画像処理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、執刀医の疲労が大きい、顕微鏡下のマイクロサージェリーの骨削り・脂肪切開作業において、執刀医の意思を支援する外科医主導型のハンド、すなわち「マイクロサージェリーハンド」を開発することである。これは、力変換部・手術用具・画像処理部・多関節腕の4つの機構要素から成る。 力変換部は、操作力で歪ゲージ式の力センサで検出し、それに比例した手術用具に伝わる微小力を、圧電式の力センサで検出しながら、ピエゾ素子で発生する要素である。たとえば1Nで操作された力を±5%の精度で1/10に縮小して、30msの時間遅れで手術用具に伝えることができた。さらに、たとえば2N以上の過大力が働いた場合に手術用具が数mm後退するフェイルセーフ機構が付与されている。また、手術用具として、刃頂角が45度のダイヤモンドからなる切削刀などを試作したが、これらでモルモットの中耳の死骨を削ると、微小力0.1N程度、すくい角45度程度で薄く削ることができた。また、画像処理部では高速画像処理装置を用いて、手術用具の変位・姿勢を1mmの分解能でビデオレートで検出できた。多関節腕は力検出部を固定するものであるが、今回は操作者の腕と固定した。緊急時は操作者とともに退避できる。 このように当初の要求機能を満足する機構要素を設計・試作したが、実際の生骨を削ると全体機能は必ずしも満足できなかった。生骨は湿っているけれど硬い軽石のようで、工具の運動軌跡に沿って削るというより、叩き割る、またはこそぐ、という作業で骨を除去した。また、多関節腕は、固定した場合の剛性が1mN/μm程度と小さく、ピエゾ素子の30μmの伸長分を吸収し、力発生機能が発揮できなかった。金属加工と異なる切除メカニズム、長い伸長を有する力発生素子(たとえば10mmで1N)などの開発が今後の研究課題である。
|
-
[Publications] M.Nakao et al: "Micro-Impulse Generation Digging Tool for Micro Surgery" Proceedings of Annual Meeting 95 of ASPE. 317-320 (1995)
-
[Publications] M.Nakao et al: "Two-axis Force Sensing Surgery Knife to Obtain Dynamic Information" Proceedings of Annual Meeting 94 of ASPE. 61-64 (1994)
-
[Publications] 中尾政之 他3名: "微小力制御可能な外科手術用骨掘削工具の開発" 精密工学会1996年度春季大会講演論文集. 337-338 (1996)