1995 Fiscal Year Annual Research Report
構造安定化多孔質シリコンによる電流注入型高効率可視発光素子の作製
Project/Area Number |
07555414
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 利道 大阪大学, 工学部, 助教授 (00183004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 裕孝 日立製作所(株), デバイス開発センター, 主任技師
八田 章光 大阪大学, 工学部, 助手 (50243184)
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Keywords | 多孔質シリコン / 可視発光 / フォトルミネセンス / 時間分解スペクトル |
Research Abstract |
多孔質シリコンの形成及び処理過程のパラメータを調整することにより、300nm程度の波長の紫外線を励起光源とした場合に観測される可視フォトルミネセンス(PL)スペクトルの半値幅が、従来報告されていた0.3〜0.4eVよりかなり狭くなる(得られた最小値は室温で0.21eV)多孔質シリコン試料の作製に初めて成功した。それらの試料について、そのPLスペクトルの温度依存性や時間分解PLを測定し、いくつかのPL発光起源に関する新しい知見を得ることができた。例えば、PLピークエネルギーの高い試料ほど、PL強度が強い傾向にあり、この傾向は、半値幅0.24eV未満の試料では特に顕著であった。また、PLピークエネルギーとPL強度の温度依存性において、ともに240K周辺でかなり鋭い極大値をもつという、従来には報告されなかった温度依存性を示すことが判明した。さらに、時間分解PLデータは、200Kを境として、二種類の異なる活性化エネルギーにより特徴づけられ、観測された低温側の活性化エネルギーは発光エネルギーに依存するが、高温側ではほとんど依存しなくなることが明らかになった。最後の結果からは、PLの機構には熱励起の過程が含まれていることが強く示唆される。観測された全ての結果を、矛盾無く説明できる発光機構モデルの提案を行ない、PLピーク波長が650nmより長波長にある場合には、多孔質シリコンの発光機構が、ナノサイズのシリコン微結晶の界面準位を介するものではなく、その微結晶におけるバンド端励起子発光に基づくものと考えられることを示した。今後は、PLデータと電気的なキャリア注入による発光との関連を明らかにし、更に処理パラメータを最適化することにより、高効率の発光素子化を目指した研究を展開する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Thoshimichi Ito: "Improvement in Visible Luminescence Properties of Anodized Porous Silicon bv Indium Plating" Japanese Journal of Applied Physics. 34. L649-L652 (1995)
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[Publications] 古田啓介: "多孔室シリコンから観測される半値幅の狭いフォトルミネセンス" 電子情報通信学会技術研究報告. 95(400). 25-30 (1995)
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[Publications] K.Furuta: "Strong visible luminescense from metal-plated porous silicon" Proc.188th Meeting Electrochem.Soc.(印刷中). (1996)