1995 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルMOCVD法によるPZT強誘電体薄膜の作製とそのデバイス応用に関する研究
Project/Area Number |
07555418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
黒岩 紘一 東京農工大学, 工学部, 教授 (20170102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 周一 (株)東芝, 材料デバイス研究所, 研究主幹
垂井 康夫 早稲田大学大学院, 理工学研究科, 教授 (10143629)
上野 智雄 東京農工大学, 工学部, 講師 (90223487)
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Keywords | 強誘電体薄膜 / 不揮発性メモリ / PZT / ペロブスカイト / デジタルCVD |
Research Abstract |
絶縁物であるペロブスカイト型PZTは、その高誘電率特性および強誘電性を有することから、256M以上の世代のDRAMキャパシタ材料、さらには強誘電体特有の自発分極特性を生かし、現在のEEPROMより高速・高集積化が計れる次世代の不揮発性メモリ材料としての応用が期待される。 本年度は、強誘電体材料の本質的な性質を明らかにするための基礎検討として、単結晶ペロブスカイトPZTの作製のための、各単体酸化物(PbO、ZrO2、TiO2)の成膜を、通常のCVDチャンバーを用いて行った。これらの基礎データより、PZT薄膜を作製するにあたって、PZTを1分子層得るのに必要な各構成酸化膜の膜厚をモル数により求めることが可能となった。また、各原料を交互に供給できる原料交互供給システム(当該年度設備備品)およびデジタルCVDにおける原料ガス排気装置(当該年度設備備品)を作製し、現有のCVDチャンバーに組み込むことにより、デジタルCVDチャンバーを構築した。 デジタルCVDチャンバーによる成膜より、MgO基板上にC軸単一配向PZT薄膜が作製された。この際、基板加熱温度が48℃と、従来の方式よりも100℃近く低温化することが可能となった。これは、原料ガスを交互に供給することにより、気相中での結晶化を防止できたことによるものと考えられる。通常のCVDのように原料ガスを同時にチャンバー内に供給すると、基板ヒーターからの熱を受けて、低温相であるPZTパイロクロア相が生成される。いったん形成されたパイロクロア相を所望のペロブスカイト相に相転移させるためには、活性化エネルギーが必要となるため、比較的基板温度を高温にする必要がある。これに対して本手法は、相転移のための活性化エネルギーが不要であるため、上述した結晶作製の低温化が図れたと考えられる。
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