1996 Fiscal Year Annual Research Report
揮発法を用いたごみ焼却飛灰からの重金属の分離回収技術に関する研究
Project/Area Number |
07555464
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武田 伸生 京都大学, 工学研究科, 教授 (20026256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 助手 (80252485)
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Keywords | 塩化揮発 / 飛灰 / 重金属 / 無害化処理 / 再資源化 |
Research Abstract |
本研究はごみ焼却飛灰から容易に金属類を効率的に分離回収する方法として資源分離回収の要素技術の一つである塩化揮発法を用い、ごみ焼却飛灰の溶融点以下の比較的低温域下(600℃〜1000℃)での積極的な金属類の塩化による加熱揮発を利用した無害化処理および分離回収を目的したものである。電気炉を用いて揮発成分の組成ならびに加熱揮発後の成分についてICP発光分析装置および蛍光X線分析装置を用いて調査し、ごみ焼却飛灰の無害化、再資源化両面について検討を行った。 試料飛灰は電気集塵機械飛灰を、塩化剤は塩化アンモニウムを用い、あらかじめ混合した後電気炉に供給した。加熱雰囲気は窒素および空気であった。試料の供給方法は、石英皿に所定量のせてバッチ的に供給する方法と試料ホッポから連続的に供給する方法の2つ方法で行った。塩化揮発による重金属の挙動について以下の知見が得られた。 バッチ供給方法による塩化揮発実験では塩化剤の添加による重金属の揮発分離の始まる温度の低温化がはかれた。900℃において飛灰中のカドミウムおよび鉛の含有濃度を10%に、亜鉛の含有濃度を20%まで低下させることができた。また、銅は空気雰囲気下で加熱することにより20%まで含有濃度を低下させることができた。この金属の揮発特性の違いを利用した金属の選択分離が可能であった。15EA04:連続供給方法による塩化揮発実験ではバッチ供給方法により揮発する割合が低下したが、処理灰中の重金属類の水溶出試験を行うと、容易に溶出されることから揮発せず処理灰中で塩化されていることがわかった。揮発成分にはナトリウムなどのアルカリ成分や亜鉛および鉛がかなり濃縮されていた。揮発成分に対し、硫化ナトリウムを用いた重金属回収試験を行った結果、28.3%の鉛が回収された。塩化揮発時の重金属の挙動に対し、熱力学データベースより化学平衡を計算し、いずれの場合においても塩化揮発反応の妥当性が確認された。
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