1995 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素樹脂を用いたアクリル系粘着剤傾斜構造の開発とその粘着性評価
Project/Area Number |
07555486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
秋山 三郎 東京農工大学, 工学部, 教授 (80015049)
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Keywords | 表面偏析 / 傾斜構造 / ブレンド / XPS / FTIR / 粘着剤 / 相溶性 / 表面張力 |
Research Abstract |
1.非相溶系P(2EHA-AA-VAc)/P(VDF-HFA)(50/50)ブレンドについて、デプスプロファイルをXPS,FTIRにより作成した。(50/50)ブレンドのデプスプロファイルは、単純な傾斜構造ではなく、表面、底部から約10μmの深さでは組成の指数関数的な変化,中央部では平坦部が観察された。一方、(50/50)ブレンドの断面形態がTEMにより観察された。P(2EHA-AA-VAc)楕円粒子が観察され、その大きさは表面から底部にかけて増大した。また、底部には約0.5μmのP(2EHA-AA-VAc)層が観察され、表裏での粘着性の差異はこの層の存在によるものと推定した。また、TEM観察の結果は、デプスプロファイルの結果を裏付けるものと判断した。 2.相溶系PEA/P(VDF-HFA)ブレンドで表面偏析が起こっているか否かをXPSにより調べた。この系は、融点以上でLCST型の相図を示すことが、クラウド点測定結果から見出された。一方、XPS測定結果から、この系は表面から約6-8μmまでの深さで表面偏析が起こっており、それ以上の深さでは表面組成とバルク組成が一致していることが確認された。PEA/P(VDF-HFA)相溶ブレンドにおける表面偏析は、成分間の表面張力差により形成されたものと判断した。相溶ブレンドの表面偏析の度合いは、非相溶ブレンドにおける表面偏析の度合いより小さかった。表面偏析の度合いは、相溶性によって大きく左右されるものと推測した。 3.今後の課題は、PBA/P(VDF-HFA)ブレンドについて、相溶性,表面張力,密度などを調べ、表面偏析現象を解析することである。特にコンピュータを用いて、表面偏析やそのデプスプロファイルの定量化を試みる。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 秋山三郎: "廃棄物とアロイ化,相溶化技術" 工業材料. 44. 64-69 (1996)
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[Publications] 金容薫: "無水マレイン酸-アリル系相溶化剤によるポリカーボネート(PC)/ナイロンアロイに生じる化学反応と相構造" 高分子論文集. 53. 169-175 (1996)
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[Publications] 宮古強臣: "ポリブタジエン(PBD)/α-およびβ-ピネンブレンドの相溶性と粘着性" 高分子論文集. 52. 434-439 (1995)
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[Publications] 秋山三郎: "ポリブタジエン(PBD)ゴム/粘着付与剤ピネン系粘着剤の相溶化現象と粘着物性" 日本接着学会誌. 31. 390-397 (1995)
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[Publications] 加納義久: "X線光電子分光によるポリアクリル酸エチル/ポリ(フッイヒビニリデン-co-ヘキサフルオロアセトン)ブレンドの表面解析" 日本接着学会誌. 31. 152-157 (1995)
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[Publications] Y.Kano: "Depth profiling of acrylate copolymer/fluoro-copolymer immiscible blends" Polym.J.27. 339-346 (1995)
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[Publications] Y.Kano: "The gradient domain morphology of binary polyacrylate adhesive/fluoro-copolymer blend film" J,Electron Microsc.44. 344-350 (1995)
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[Publications] Y.Kano: "Surface Segregation and miscibility in blends of poly(ethyl acrylate)with poly(vinylidene fluoride-)co-hexafluoro acetone)" Int.J.Adhesion and Adhesives. 15. 219-224 (1995)
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[Publications] 加納義久: "位相変調PAS-FTIR法によるアクリルコポリマー1フッ素コポリマーブレンドのデプスプロファイリング" 日本接着学会誌. 32. 1-5 (1996)
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[Publications] Y.Kano: "Contact angle of organic liquids on poly(butyl acrylate)/Poly(vinylidene fluoride-co-hexafluoro acetone)blends" Polym.Networks Blends. 6. 53-59 (1996)
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[Publications] 加納義久: "偏析現象・傾斜構造を利用した新しい粘着剤" 新素材. 5.No.5. 47-51 (1995)
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[Publications] 加納義久: "夢の粘着製品・基材のいらない粘着テープ" コンバーテック. 23,No.6. 14-17 (1995)
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[Publications] 加納義久: "赤外分光法によるポリマーアロイの表面・界面分析" 機能材料. 15No11. 33-44 (1995)
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[Publications] 秋山三郎: "粘着物性解析の最近の動向" 日本接着学会誌. (印刷中).
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[Publications] Y.Kano: "Study of interface segregation behavior in acrylate copolymer/fluoro-copolymer blends using FTIR phase-modulated photoacoustic spectroscopy" J.Adhesion. (in press).
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[Publications] Y.Kano: "Estimation of surface tension and surface segregation of poly(ethyl acrylate)/poly(vinylidone fluoride-co-hexafluoro acetone)blends" Polymer. (in press).
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[Publications] 加納義久: "アクリル系粘着剤/フッ素樹脂ブレンドでの表面偏析・傾斜構造とその解析 I.傾斜構造を利用した新しい粘着テープ" 接着. (印刷中).
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[Publications] 加納義久: "アクリル系粘着剤/フッ素樹脂ブレンドでの表面偏析・傾斜構造とその解析 II.相溶ブレンドに発現する表面偏析とその解析" 接着. (印刷中).