1996 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素樹脂を用いたアクリル系粘着剤傾斜構造の開発とその粘着性評価
Project/Area Number |
07555486
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
秋山 三郎 東京農工大学, 工学部, 教授 (80015049)
|
Keywords | ブレンド / 傾斜構造 / 表面偏析 / モルフォロジー / 溶媒蒸発速度 / シリカ / 相分離速度 / 表面張力 |
Research Abstract |
本年度は、傾斜構造の形成に影響する諸因子について、理論的アプローチを目的に行った。傾斜構造は、アクリルポリマー/フッ素コポリマーブレンドが非相溶の系で形成された。断面モルフォロジーは、ブレンドフィルムの厚さに依存して変化することがわかった。したがって試料の作製条件(溶媒蒸発効率や溶媒蒸発速度)および相分離速度が傾斜構造形成に影響しているものと推測した。またアクリルポリマー/フッ素コポリマーブレンドで形成される傾斜構造は、THF溶液中における成分間の均一性により変化することも判明した。 次に傾斜構造を示すブレンドの断面モルフォジ-を制御する試みを行った。アクリルコポリマー/フッ素コポリマーブレンドにシリカ微粒子を添加すると、その特徴的な傾斜構造が消失することが断面観察により確認された。傾斜構造に対するシリカ微粒子の添加効果が、粘着特性(剥離力,タック)に基づいて評価された。 また、ポリアクリル酸エチル/フッ素コポリマーブレンドの表面張力が、接触角法及び状態方程式理論により見積もられた。ブレンド中の体積分率に対する表面張力の変化が、Kammerによって提案された相溶ブレンドの表面張力における熱力学的な理論によって計算された。この計算法を本系に適用することにより、表面偏析挙動を定性的に表現することに成功した。
|
Research Products
(11 results)
-
[Publications] 加納義久: "アクリルコポリマー/フッ素コポリマーブレンドのモルフォロジー" 日本接着学会誌. 32・5. 164-170 (1996)
-
[Publications] Y.Kano: "Estimation of surface tension and surface segregation of Poly (ethyl acrylate) /Poly (vinylidene fluoride-co-hexafluoro acetone) blends" Polymer. 37・20. 4497-4503 (1996)
-
[Publications] Y.Kano: "Surface dynamics of Poly (butyl acrylate) /Poly (vinylidene fluoride-co-hexafluoro acetone) blends by dynamic contact angle" Polym.Networks Blends. 6・4. 153-159 (1996)
-
[Publications] S.Akiyama: "Fluoro-acrylate adhesive blends (surface segregation behavior)" Polymeric Materials Encyclopedia. 4・F-G. 2484-2489 (1996)
-
[Publications] 秋山三郎: "粘着物性解析の最近の動向" 日本接着学会誌. 32・4. 144-151 (1996)
-
[Publications] 加納義久: "アクリル系粘着剤/フッ素樹脂ブレンドでの表面偏析・傾斜構造とその解析(II)" 接着. 40・7. 298-304 (1996)
-
[Publications] 加納義久: "アクリル系粘着剤/フッ素樹脂ブレンドでの表面偏析・傾斜構造とその解析(I)" 接着. 40・6. 263-269 (1996)
-
[Publications] Y.Kano: "Controlling gradient domain morphology in blends of acrylate copolymer/fluoro-copolymer by adding micrograin silica" Polym.J.29・2. 158-164 (1997)
-
[Publications] 加納義久: "粘・接着剤の複合化による機能発現" 日本接着学会誌. 33・1. 2-8 (1997)
-
[Publications] 秋山三郎: "傾斜構造はなぜ出現するか 高分子粘着フィルムに発現する傾斜構造の実証と解釈" 科学と工業. 71・2. 44-50 (1997)
-
[Publications] Y.Kano: "Poly (butyl acrylate) /Poly (vinylidene fluoride-co-hexafluoro acetone) Blends as Pressure-Sensitive Adhesives" J.Appl.Polym.Sci.63. 307-313 (1997)