1996 Fiscal Year Annual Research Report
分子軌道法による原子炉用ジルコニウム合金の耐食機能設計
Project/Area Number |
07555500
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 名古屋大学, 工学部, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東中川 恵美子 (株)東芝, 研究開発センター材料デバイス研究所, 主幹研究員
江崎 尚和 鈴鹿工業高等専門学校, 助教授 (80160357)
村田 純教 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10144213)
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Keywords | 腐含 / ジルコニウム合金 / 分子軌道法 / ジルコニア |
Research Abstract |
現在の主要な商用原子力発電炉として、沸騰水型原子炉がある。この炉心に使用されているジルコニウム合金(例:ジルカロイ系合金)の表面には、均一腐食のみならず、局部腐食(いわゆるノジュラー腐食)が起こり、白色膿包状の酸化物が形成される。これは剥離しやすいため、冷却水の汚染と制御棒の駆動に支障を与える恐れがある。さらに、ウラン資源の有効利用を目的として進められている核燃料の高燃焼度化(長寿命化)の要請とあいまって、その対策が強く望まれている。本研究の目的は、腐食のメカニズムを解明し、将来の耐食機能設計を行う上での重要な指針を得ることにある。このため、昨年度に引き続き、表面腐食皮膜の化学成分および電子状態をx線光電子分光法(XPS)を用いて調べた。また、その電子構造の計算を分子軌道法(DV-Xαクラスター法)を用いて行った。その結果、以下の成果を得た。 1.各種2元素合金(Zr-X,X:3d遷移金属およびSn)および実用ジルカロイ合金の表面に生成するジルコニア皮膜のXPSスペクトルは、耐食性の良い合金と悪い合金とでは違っており、合金元素により皮膜の性質が異なることが明らかになった。 2.合金元素の周期表の位置に従って耐食性が規則的に変化した。 3.上記1、2の結果は、ジルコニア皮膜の電子状態が合金の腐食特性に関係していることを示唆している。そこで、DV-Xα分子軌道計算を行い、ジルコニア中の合金元素の化学結合状態を明らかにした。 4.これら実験結果および計算結果を総合して、電子論に基づくジルコニウム合金の腐食機構のモデルを提案した。
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