1995 Fiscal Year Annual Research Report
細孔組織が適切に設計された高緻密な繊維強化セメント系建材の開発
Project/Area Number |
07555501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 雅彦 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (80027903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 誠史 山口大学, 工学部, 助教授 (00016817)
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Keywords | 球粒子化セメント / 高緻密 / 低吸水率 / 繊維補強 / 粒度配合 / 耐凍害性 / 炭酸化処理 / 塗膜 |
Research Abstract |
本研究では従来からの補強繊維である「石綿」を用いず、同等の補強性能を持つ非発ガン性のビニロン繊維を用い、セメント原料も従来になかった新規な粉体処理により球状化かつ高緻密化した粒子粉体を合成して、従来にはない極めて低温環境下で高耐久性を有する板状新建築素材(壁、屋根、床用)を開発することを目的としている。 本年度の成果をまとめると以下のようである。 (1)高速気流中衝撃式セメント粉体処理により、個々の単一粒子が高性能減水剤、細骨材、成形助剤などを所定量含む緻密で球形で流動性および充填性に優れるビニロン繊維補強セメント系建材の原料粉体が合成できる事が分かった。 この新規合成セメント原料を用いると、建材成形時の混水比が比処理セメント粉に比べて約5割に低減でき、養生後に得られる板建材の吸水率は、同じ成形法で比較すると半分以下(例えば注型/加圧法では5%程度)の低吸水率建材を作製できることが分かった。 (3)上記の低吸水率で高緻密なビニロン繊維強化セメント板建材をアメリカ・コンクリート低温耐久性試験法(ASTMC-666-A)で凍結融解を700サイクル繰り返しても、比処理粉体の同種系建材では組織破壊を起こすが、全く組織劣化が見られず極めて高耐久性化が達成されていることが分かった。これらの内容は学会で口頭発表すると同時に工業新聞社の掲載記事として公表された。 (4)また、平成8年度に本格的に実施の予定であるが、予備実験として今年度新規に開発できた高耐久性セメント建材の表面を炭酸ガスにて処理を行った結果、表面細孔組織が変化して、本研究で計画した低温高耐久性向上に適した細孔組織と構造を達成するための実験条件設定を大まかに掴むことが出来たので、この予備的検討の結果は来る関連学会での発表を行うと共に平成8年度に本格的に成果を求めて行く予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 谷口貞司,他: "球状化セメントを用いたビニロン繊維補強化系建材の諸特性" 粉体工学会誌. 33(印刷中). (1996)
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[Publications] 谷口貞司,他: "繊維補強セメント系建材原料の混合及び表面改質" 粉体工学会誌. 33(印刷中). (1996)
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[Publications] 石橋行彦: "高速気流中衝撃法による改質セメント原料を用いた繊維補強セメント系建材の特性改善" 第39回日本学術会議材料研究連合講演会(前刷集). 209-210 (1995)