1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07555549
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宝沢 光紀 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (70005338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正秀 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (10261504)
庄野 厚 東京理科大学, 工学部, 助手 (20235716)
塚田 隆夫 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (10171969)
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Keywords | 複合液膜 / 脱塩プロセス / エマルション / 乳化液膜 / 抽出 / 中空系 / 撹拌槽 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果から、乳化液膜を利用した脱塩装置が実用的な装置として有効であり、またキャリヤ-と溶媒の組み合わせとしては、カチオン(Naイオン)交換膜にはD2EHPA(抽出剤)-Span80(界面活性剤)-kerosene(溶媒)系、アニオン(Clイオン)交換膜にはTOMAC-PARANOX147-kerosene系が適当であることがわかった。本年度はこれらの知見を基に、実際に脱塩装置を試作し、その装置特性を明らかにした。以下に本年度の研究成果の概要を述べる。 本脱塩法の場合、2種類のW/Oエマルションを同時に原料相に接触させ、かつ互いのエマルションが接触することを回避する必要がある。このような条件を満たす装置形式として、1)内部に2種類のエマルションをそれぞれ流通させた中空系を原料相中に設置する形式と2)2種類のエマルションをそれぞれ分散させた撹拌槽を隔膜で仕切る形式について検討した。 中空糸内部にエマルションを流通させる形式の装置では、W/Oエマルションの液膜相と原料相の界面を中空糸膜孔内に保持する必要があるが、界面を孔内に保持するための中空糸内外の圧力バランスを調節する操作が非常に難しいことがわかった。 一方、隔膜により撹拌槽を二つに仕切る形式の装置に関しては、隔膜の素材としてフッ素コーティングを施した635meshのステンレス製金網がエマルションを最も透過しにくく、さらにこの金網を5mm間隔で2枚配置することにより2種類のエマルションに対する隔膜として十分利用可能であることがわかった。また、エマルションの漏出には隔膜へのエマルションの衝突速度が大きく影響しており、撹拌槽内におけるエマルションの分散状態、エマルションと原料相の体積比を調節することにより、エマルションは隔膜を透過せず、イオンのみを透過させることが可能であることがわかった。 今後は、昨年度及び今年度の研究成果を踏まえ、キャリヤ-に関しては特にナトリウムイオン用の抽出能の高い抽出剤を開発し、また装置形式に関しては撹拌槽の形状や邪魔板の挿入などエマルションの分散、流動状態の制御に関し検討すると共に、エマルションの安定性に関する検討も行い、より実用的な脱塩装置の開発を目指そうと考えている。
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