1996 Fiscal Year Annual Research Report
生物反応原理に基づく廃水中の有機質及び窒素の高度処理プロセスの構築
Project/Area Number |
07555559
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Section | 試験 |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
海野 肇 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (10087471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 進二郎 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40262307)
けい 新会 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (10242306)
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Keywords | 多孔質微生物担体 / 有機質 / 窒素 / 有機質酸化反応 / 硝化反応 / 脱窒反応 / 好気性微生物 / 嫌気性微生物 |
Research Abstract |
好気性細菌、嫌気性細菌等の生育条件の著しく異なる微生物群を同一反応槽に共存・生育させることができれば廃水中の有機質及び窒素を同時かつ効率的に処理することが期待できる。本研究は、多孔質担体を用いて好気と嫌気という相反する環境条件を要求する複数の微生物群の共生系を構成することにより、廃水中の有機質及び窒素の高度な処理プロセスを開発するための要素技術を確立すると共に、そのスケールアップに必要な技術データを得ることを目的としている。 本年度は、昨年度に作成したベンチスケールの連続処理バイオリアクターにおいて、多孔質担体担持微生物群を用いて、廃水中の有機質及び窒素の同時連続処理条件を検討した。容積が10lのベンチスケールリアクターに15×15×15mm^3の担体を12.5vol%添加して0.4vvmの空気通気で流動化させて活性汚泥微生物を培養した。炭素源、窒素源及び微量無機塩類を含む人工下水を平均水力学的滞留時間が8時間となるようにバイオリアクターに連続的に供給した。C/N比[kg/kg]を2.5、5.0と7.5にした人工下水を溶存酸素濃度が約6mg/lの条件下で処理した結果、炭素源の除去率はいずれも90%以上であり、全窒素の除去率はC/Nの増大に従い21%から80%に上昇した。C/N比が5.0と7.5の場合、有機質及び窒素除去に関わる微生物反応によってpHがほぼ7.0に維持された。また、実験結果を速度論的に解析したところ、C/N比が2.5、5.0と7.5での脱窒速度がそれぞれ3.5、44.2、73.7l/kg-MLSS/hであった。これらの結果から、C/N比が有機質及び窒素の同時除去にとって重要な因子であり、それを制御することによりpHを安定的に維持でき、高速窒素除去の可能性が示唆された。さらに、有機質及び窒素の同時除去のための担体内での微生物群の分布は酸素や基質の拡散と反応速度によって支配されることがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] けい新会、井上智元、海野肇: "多孔質担体担持微生物によるp-nitrophenolとその窒素の同時処理" 化学工学第29回秋季大会講演要旨集. 1. 224-224 (1996)
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[Publications] X.-H.Xing,N.F.Puspita and H.Unno: "Simultaneous treatment of xenobiotic agricultural chemicals and nitrogenous compounds by a mixed culture system" The 5th World Congress of Chemical Engineering. 2. 464-470 (1996)
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[Publications] けい新会、柳田真理、丹治保典、海野肇: "好気・嫌気性微生物群の共存バイオリアクターによる廃水中の有機質及び窒素の同時連続処理" 第31回日本水環境学会講演要旨集. 31. 2-B-13-1 (1997)
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[Publications] 柳田真理、けい新会、丹治保典、海野肇: "有機質及び窒素の同時処理機能を持つ多孔質担体担持微生物群の解析" 化学工学第62回年会講演要旨集. 1. G101 (1997)