1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07555574
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西本 清一 京都大学, 工学研究科, 教授 (10115909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 邦輔 味の素(株), 中央研究所プロセス開発研究所・ファインケミカル開発室, 室長
大谷 文章 京都大学, 工学研究科, 助手 (80176924)
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Keywords | L-リシン / 医薬品原料 / ピペコリン酸 / 白金担持酸化チタン / 光学純度 / カルバミル化 / ε-アミノ基 |
Research Abstract |
必須アミノ酸の一種で、発酵法により大量合成されているL-リシン(Lys)を原料して光触媒反応を行うと、TiO_2系触媒ではL体過剰の、またCdS系触媒ではラセミ体のピペコリン酸が得られる。ピペコリン酸はその誘導体が局所麻酔薬として利用されるなど、その生理活性が注目されている環状イミノ酸であるが、発酵によってこれを生産する菌株が見つかっていないため、光学活性体を合成することがきわめて困難な化合物である。得られるPCAの光学純度は、リシンのふたつのアミノ基のうちどちらが正孔によって酸化されるかにより決まる。白金担持TiO_2を光触媒として用いるの場合、触媒の種類や白金担持法あるいは担持量にはあまり影響をうけず、50-70%がε-アミノ基の酸化により進行する。さらに、光学純度の高いPCAを得るためには、α-アミノ基の反応を避け、ε-アミノ基を選択的に酸化することが必要である。そこで、L-リシンのε-アミノ基ををカルバミル化した化合物(ホモシトルリン塩酸塩)を原料とした。TiO_2の種類によりPCA収率は変化したが、いずれの触媒でもほぼ光学的に純粋なPCAが得られた。α-アミノ基の窒素を^<15>Nとした化合物から得られたPCAには^<15>Nが含まれていたことから、この系では選択的にε位が酸化されて反応が進行することが明らかになった。pHを下げてαアミノ基がプロトン化した状態で反応させると転化率・収率が高かった。これは、プロトン化により酸化電位が+側にシフトするためα-アミノ基が酸化されにくくなり、ε-ウレイド部分に対する酸化反応が選択的に進行するためと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] B. Ohtani: "Effect of Platinum Loading on the Photocatalytic Activity of Cadmium(II)Sulfide Particles Suspended in Aqueous Amino Acid Solutions" J. Photochem. Photobiol., A: Chem.90. 75-80 (1995)
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[Publications] B. Ohtani: "Photocatalytic Racemization of Amino Acids in Aqueous Polycrystal-line Cadmium(II)Sulfide Dispersions" J. Chem. Soc., Faraday Trans.91. 1103-1109 (1995)