1996 Fiscal Year Annual Research Report
地球に優しい産業廃棄物利用セメントの耐久性向上対策に関する実用化研究
Project/Area Number |
07555577
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大門 正機 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近田 孝夫 新日鉄化学(株), 高炉セメント技術センター, 所長(研究職)
鯉淵 清 第一セメント(株), セメント生産部, 課長兼主任研究員
坂井 悦郎 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90126277)
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Keywords | 地球環境 / 高炉スラグ / 中性化 / 耐久性 / 塩基度 / 膨張材 / 建設システム / 有効利用 |
Research Abstract |
地球環境に優しい、しかも産業副産物を有効に利用した高炉セメントを用いた硬化体やコンクリートの欠点である大気中に含まれる炭酸ガスとの反応による中性化や劣化を防止する技術の確立を計り、その生産において炭酸ガス放出量の少ない高炉セメントの広範な利用を可能にし、耐久性の優れた鉄筋コンクリート構造物を構築できるセメントを提供しすることを目的に昨年までに見いだした改善方法の確認と試作セメントの検討を実施した。 高炉スラグにおいては塩基度の管理が重要であることを見いだしたが、それを確認するため再度塩基度の異なる高炉スラグを用いて中性化試験を行った。塩基度が0.08低い高炉スラグを用いた高炉セメントでは粉末度を2000cm^2/g向上させると圧縮強度は追いつくが、中性化は改善されないことを明らかにした。それ故、前年度までに見いだした刺激剤の利用が重要であり、膨張材を利用するため実際に試作膨張材を実記プラントで製造した。この膨張材を利用する事により中性化は抑制されることを確認した。また、現在注目を集されている高流動コンクリートのように水セメント比を35%程度とすることにより中性化は抑制され、しかも高炉スラグの利用は分散剤の添加量を半分程度にすることが可能であり、今後の技術として重要であることを明らかにした。 まだ、試作セメントの経済性評価などは十分ではないが、今回の2年度に渡る研究成果を基にして技術マップを作成し、さらに刺激剤を少量添加した新規な高炉セメントを揃えることにより、地球環境に優しい産業副産物を有効に利用した建設システムの構築できる方向性を見いだすことができた。
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[Publications] 坂井悦郎.大門正機他: "化学組成や粉末度の異なる高炉セメント硬化体の炭酸化" コンクリート工学年次論文報告集. 18. 735-740 (1996)
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[Publications] 盛岡実.久保田賢他: "各種刺激剤を混和した高炉スラグセメント硬化体の中性化" コンクリート工学年次論文報告集. 18. 741-746 (1996)
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[Publications] 大門正機.坂井悦郎: "地球環境と産業との調和-リサイクル社会をめざして-" 平成8年度標準化九州地方大会テキスト(日本規格協会). 1-5 (1996)
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[Publications] 近田孝夫: "高炉スラグの性質と用途" 日本セラミックス協会九州支部春季特別講演資料. 1-18 (1996)
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[Publications] 久保田賢.坂井悦郎他: "炭酸化した高炉セメント硬化体の強度発現性" コンクリート工学年次大会. (発表予定). (1997)
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[Publications] 盛岡実.大門正機: "膨張材を混和した高炉セメントの特性" コンクリート工学年次大会. (発表予定). (1997)