1996 Fiscal Year Annual Research Report
ジアステレオマ-法による光学分割機構の解明と実用的新規光学分割剤の開発
Project/Area Number |
07555581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 和彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80016154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 健一 山川薬品工業(株), 磯原工場技術研究室, 主任研究員
橋本 幸彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50201710)
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Keywords | 光学分割 / ジアステレオマ-法 / マンデル酸 / 1-フェニルエチルアミン / 光学活性体 |
Research Abstract |
カルボン酸のアンモニウム塩結晶を用いた光学分割法のなかで最も一般的に行なわれているジアステレオマ-塩法について,結晶構造をもとに,新規光学分割剤の設計を試みた。 まず初めに,(R)-マンデル酸を分割剤として種々のラセミ体-1アリールアルキルアミンの光学分割を試みた。その結果,アミンのアリール基上の置換基によって分割成績が大きく影響されることを見出した。すなわち,無置換あるいはオルト置換アミンは効率よく分割されたのに対し,パラ置換体は全く分割できないことがわかった。そこで,分割成績の良かった塩について,難溶性塩のX線結晶構造解析を行なった。その結果,難溶性塩結晶中では極めて特徴的な水素結合ネットワークが共通して形成されていることが分かった。この水素結合ネットワークは,(1)アンモニウム部とカルボキシラート部が2回らせん軸を中心に有するカラム状の構造になっている,(2)マンデル酸の水酸基を介してカラム状構造どうしが水素結合で結ばれており,結果的に平面状の水素結合ネットワークが形成されている,(3)水素結合ネットワーク表面の平面性が高く,極めて密なパッキング状態になっている,という特徴を有していた。これらの結果から,1-フェニルエチルアミンのフェニル基のパラ位に置換基を導入すると,マンデル酸とアミンの作る水素結合ネットワークの平面性が乱れ,両ジアステレオマ-とも難溶性塩結晶に見られた安定な結晶構造がとれなくなり,その結果,分割効率が低下したものと考えられた。そこで,マンデル酸のフェニル基のパラ位に置換基を導入すれば,メタあるいはパラ置換アリールエチルアミンの一方の対掌体と,上記の条件を満たすような平面性の良い水素結合ネットワークが形成できるのではないかと考えた。いくつかのパラ置換マンデル酸を用い,これらアミンの光学分割を試みたところ,良好な効率で分割できることが分かった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Kinbara: "Crystal Structures of the Salts of Chiral Primary Amines with Achiral Carboxylic Acids:Recognition of the Comuonly-occurring Supremoleculcr Assonblly" Joural of the American Chemical Society. 118. 3441-3449 (1996)
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[Publications] K.Kinbara: "Design of Resolving Reagents:O Substituted Mandelic Acids as Resolving Reagents of 1-Arylalkylamices" Tetrahedron:Asymnetry. 7. 1539-1542 (1996)
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[Publications] K.Kinbara: "Chiral Discrimination upon crystallisation of the dicotereaneric salts of 1-amlethylamines with mandelic acid or methoxys mandelic acid" Journal of the Chemical Society,Perkin Trans.2. 12. 2615-2622 (1996)