1996 Fiscal Year Annual Research Report
β-シクロヘキシル-α,β-ジフルオロスチレン構造の新規高性能液晶化合物の合成
Project/Area Number |
07555582
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Section | 試験 |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
井上 誠一 横浜国立大学, 工学部, 教授 (90017939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 勝利 セイミケミカル(株), LC事業チーム, 部長(研究職)
本田 清 横浜国立大学, 工学部, 助手 (60231578)
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Keywords | 液晶化合物 / STN液晶 / 置換ジフルオロエチレン / キラル添加剤 |
Research Abstract |
β-(シクロヘキシル)-α,β-ジフルオロスチレンの置換誘導体が新規の構造の高性能低粘性液晶性化合物であることを見いだしたので、STN方式液晶デバイス作成上必須の成分であるキラル添加剤への応用を目的として、実用化を視点に入れた分子設計と合成法について検討した。その結果、 (1)側鎖成分として光学活性のアルキル基の構造を変化させた一連の化合物を合成し、物性を測定したところ、フェニルエーテル型化合物は比較的粘性が大きく、また螺旋構造誘起能力は低かったが、安息香酸エステル構造のものは低粘性であり、螺旋構造誘起能力は大きく、添加剤として有効であることがわかった。また側鎖長やキラル中心の位置と添加剤としての有効性との間に一定の関係があることがわかり、最適分子構造を設計するための基礎的知見が得られた。 (2)シクロヘキシルリチウムの生成法も含めてβ-シクロヘキシル置換スチレン合成条件を検討し、製造スケールでの合成と精製の方法について検討した結果、キラルなアルコールが容易に入手できるものであれば、比較的効率のよい合成が可能であることがわかった。 (3)分子構造と安定性の関係を調べたところ、フェニルエーテル型化合物は非常に安定であるが、安息香酸エステル型化合物は吸収波長が可視光線に近く、また加水分解しやすい構造であるため耐候性にやや問題が残ることがわかり、より安定な構造でかつ優れた物性を発揮する分子を設計する必要性が明かになった。
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[Publications] 井上誠一: "ジフルオロスチルベン型化合物の合成と液晶性" 染料と薬品. 41. 57-68 (1996)
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[Publications] 井上誠一: "光学活性な置換基を有するトアリール-2-シクロヘキシル-1,2-ジフルオロエチレンの合成と性質" 第22回液晶討論会講演予稿集. 77-78 (1996)
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[Publications] 井上誠一: "キラルな1-(p-置換アリール)-2-(4-アルキルシクロヘキシル)-1,2-ジフルオロエチレンの合成と性質" 日本化学会第72春季年会講演予稿集. II. IK216- (1997)