1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07555585
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
中村 茂夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (10011008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌形 一夫 日新化研, 取締役
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Keywords | エポキシ樹脂 / 硬化反応 / フェノールノボラック / クレゾールノボラック / トリメチルシリル基 / 吸水率 |
Research Abstract |
本年度は、分子内に水酸基を持たないエポキシ樹脂の製造法として、フェノールノボラック(PN)およびクレゾールノボラック(CN)にトリメチルシリルエーテル基を導入したトリメチルシリルフェノールノボラック(TMSPN)およびトリメチルシリルクレゾールノボラック(TMSCN)を硬化剤に用いてエポキシ樹脂の硬化を行なった。得られた硬化物は水酸基の代わりにトリメチルシリルエーテル基を持っている。PNまたはCNかTMSPNまたはTMSCNを合成し、これらの硬化剤を用い、テトラ-n-ブチルホスホニウムボロミドを触媒として、ビスフェノールAジグリシンジルエーテル(BPDGE)の硬化を行なった。 硬化物のTgはTMSPNおよびTMSCNを硬化剤に用いたとき、それぞれ118℃、112℃で、TMSPN硬化剤のほうが若干高い。また、いずれの硬化物も典型的な橋かけ高分子の粘弾性挙動を示した。低温におけるβ分散は2つ現れ、高温側のβ'分散はTMSCNの方がより高温に現われた。TMSPNおよびTMSCN硬化物の25℃、水中の飽和吸水率はいずれもきわめて低い値を示し、TMSPN硬化物では0.20%、TMSCN硬化物では0.22%となった。このきわめて低い吸水率は側鎖のトリメチルシリル基の高い疎水性による。また、拡散定数の値は、TMSPNでは1.03cm^2s^<-1>、TMSCNでは1.05cm^2s^<-1>となり、TMSCNの方がやや大きな値となった。この差はTMSCNが環の側鎖にメチル基を有するため、架橋構造がより疎となり、硬化樹脂中の水の拡散がより容易になるためである。
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