超音波-ウェーブレット法による材料内部の損傷過程の非破壊評価システムの開発

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07555617
• Research Institution: Tokyo Institute of Technology
• Principal Investigator: 岸本 喜久雄 東京工業大学, 工学部, 教授 (30111652)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 井上 裕嗣 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90193606)
• Keywords: 超音波 / ウェーブレット変換 / 材料損傷 / 非破壊評価

Research Abstract

繊維強化材料,ポリマーアロイ,傾斜機能材料などの新素材では,材料内部の微視的構造が巨視的な機械的特性を左右する場合が多い.したがって,機能や強度の優れた材料を開発し,それらを有効利用するためには,種々の負荷の下での微視的構造の変化やそれに伴う内部損傷を正確に把握することが重要である.このような目的に対しては非破壊的な材料評価手法である超音波法が有効であると考えられるが,超音波の波形データから有意な情報を的確に抽出することは容易でなかった.
本研究では,超音波の波形データに対してウェーブレット変換による時間-周波数解析を適用することにより,材料内部の微視的構造の変化や損傷を非破壊的に評価するためのシステムを開発することを目的とした.本研究により得られた成果は以下の通りである.
(1)ウェーブレット変換を用いた弾性波動データの時間-周波数解析に関する基礎的な検討を行った.
(2)(1)の結果に基づき,ウェーブレット変換を用いた超音波データ解析によって,材料の微視的構造や損傷に関連するパラメータ(群速度と減衰率)を抽出するためのソフトウェアを開発した.
(3)超音波試験を実施するための試験装置を製作した.
(4)局所的に損傷した試験片を用意し,(3)の装置によって超音波試験を行って波形データを得た.
(5)(4)のデータを(2)のソフトウェアによって解析し,材料の微視的構造や損傷に関連するパラメータを抽出した.
(6)以上の成果を総括し,論文発表した.

Research Products

• [Publications] Kikuo KISHIMOTO: "Time-Frequency Analysis of Dispersive Waves by Means of Wavelet Transform" Transactions of the ASME,Journal of Applied Mechanics. 62・4. 841-846 (1995)
• [Publications] Hirotsugu INOUE: "Experimental Wavelet Analysis of Flexural Waves in Beams" Experimental Mechanics. 36・3. 212-217 (1996)
• [Publications] 井上 裕嗣: "エコー波形のウェーブレット解析による超音波の速度と減衰の算定" 非破壊検査. 46・3(印刷中). (1997)