1997 Fiscal Year Annual Research Report
大深度地下空間における避難誘導システムを組み込んだ安全性評価シミュレータの開発
Project/Area Number |
07555651
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏原 士郎 大阪大学, 工学部, 教授 (70029164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪田 弘一 大阪大学, 工学部, 助手 (30252597)
横田 隆司 大阪大学, 工学部, 助手 (20182694)
吉村 英祐 大阪大学, 工学部, 助教授 (50167011)
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Keywords | 地下街 / 避難 / シミュレーション / 誘導 / 大深度地下 / 防災 |
Research Abstract |
本年度は,本研究の最終年度にあたり,昨年度に開発したシミュレータを用いて,地下空間に求められる安全性を検討し,大深度地下空間の実現可能性を探ることを重点的に研究を行なった. 本年度の研究成果は以下の通りである. 1.梅田地区地下街において,通行量を調査した結果: 新たに整備された大阪駅前ダイヤモンド地下街の通路部分においては,群集密度は全体的に低い.これは,従来の地下街に比べて,通路部分を大幅に広くしたためであると考えられる.すなわち、地下空間における避難安全性確保の一手段として、通路を広くことが、面積効率の面からは問題ではあるものの、人の密度を減らすことから、かなり有効であることが確認された。 2.大深度地下空間のシミュレーションを行なった結果: (1)大深度地下空間でも地上の建物と同程度の安全性は確保されなければならないが,今回のシミュレーション結果では,大深度地下空間が地上の建物よりもはるかに危険であることがわかった. (2)地下8階以上になれば,火災時の一時的な篭城区画を設ける必要性が明らかになったが,現在の技術力では十分な安全性を確保できる保証はない.その点で,大深度地下空間は現実性に欠けると判断される. 以上の結果から,大深度地下空間を実現するためには,従来の技術だけでは不十分であり,コスト高を伴う十分な措置を必要とすることがわかった.バブル崩壊以降,大深度地下空間に対する論議は下火になったとは言え,相変わらず技術優先での議論が続いている。本研究が,そうした流れに歯止めをかける一助になれば幸いである.
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