1996 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスを用いた新非磁性エリンバー材料の開発と応用
Project/Area Number |
07555663
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Research Institution | The Research Institute for Electric and Magnetic Materials |
Principal Investigator |
岸田 紀雄 (財)電気磁気材料研究所, 合金材料グループ, 主任研究員 (50111092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 祥弘 (財)電気磁気材料研究所, 合金材料グループ, 研究員補 (50249976)
増本 健 (財)電気磁気材料研究所, 所長 (20005854)
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Keywords | 金属ガラス / 非磁性エリンバー合金 / Zr-Cu基合金 / 高弾性特性 / 高機械的強度 / 高耐食性 |
Research Abstract |
アモルファス構造を有し、結晶質では得られない新しいタイプの非磁性エリンバー合金を開発する目的で、Zr-Cu系金属ガラスに着目し、弾性特性を初め、種々の測定を行った。その結果、Zr-Cu系合金は2元合金において、金属ガラス状態を現す過冷却液体領域が得られ、ガラス遷移温度以下で明瞭なエリンバー特性が示されることがわかった。その過冷却液体領域は、第3あるいは第4元素を添加することにより、さらに大きく拡大されるが、それに伴ってエリンバー特性が現れる領域も広げられることが判明した。しかも、その特性は熱処理によって一層改善されることも明かとなった。一方、バルク状金属ガラスは、冷却が極めて緩慢でもアモルファス状態が得られるような特殊構造を持つことから、急冷時に試料に導入される応力が小さいため、弾性の形状異方性が極めて小さいことに加えて、熱処理を施すことによって常温における経年変化がほとんどなくなるという、これまであまり例のない合金であることも確かめられた。また、この合金系において、最高で安定な特性が得られる熱処理温度は、経験的に、(Tg-170±10)Kで与えられることがわかった。これらのZr-Cu基金属ガラス合金は、エリンバー特性と同時に機械的強度が大きく、耐食性にも優れる上に、バルク状でもアモルファス構造が実現出来るために、振動子を初めとしてばね材や、磁気の影響を嫌うような各種の精密機器あるいは計測機器の部品として好適であることが明らかになった。今後は、広い過冷却液体領域を利用した塑性加工を行って、エリンバー特性を発揮する微小な部品を作製し、各種のセンサーやアクチュエーターなどへの応用を進める予定である。
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[Publications] H.M.Kimura: "Physical and Mechanical Properties of Zr-Based Metallic Glasses" Materials Transactions JIM. 36-7. 890-895 (1995)
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[Publications] 木村久道: "Zr基金属ガラスの酸化、熱膨張、硬さ、電気抵抗、ヤング率の温度依存性" 新素材開発施設共同利用研究報告書(東北大学金属材料研究所). No.6. 207-208 (1995)
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[Publications] 増本健: "金属ガラスを用いた新非磁性エリンバー材料の開発" 新素材開発施設共同利用研究報告書(東北大学金属材料研究所). No.7. 253-255 (1996)