1997 Fiscal Year Annual Research Report
フラクタル解析を利用した作物根の総合評価システムの構築
Project/Area Number |
07556007
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
巽 二郎 名古屋大学, 農学部, 教授 (00163486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 伸哉 神戸大学, 農学部・附属農場, 助手 (70252799)
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Keywords | 水稲 / 根系 / フラクタル次元 / 直播栽培 / 根長 / ラジコンヘリ |
Research Abstract |
試験水田からコアサンプラーを用いて採取した土壌中に含まれる水稲(品種キヌヒカリ)の不定根の断片(3〜5cm)についてその形態と分布を調べた。処理区は直播栽培区としてラジコンヘリによる2kg/10a播種区(HH区),同1.5kg/10a播種区(HL区),条播機による2kg/10a播種区(J区),および背負い式動力散布機による2kg/10a播種区(D区),そして機械移植区(T区)であった。1)ボックスカウンティング法とダイレーション法を用いて根のフラクタル次元(それぞれDbとDd)を測定して比較した。その結果両者の次元の間にはほぼ1:1の高い正の相関(r2>0.958)が認められた。2)各区における根の平均DbはHL区とT区でもっとも高く,HH区,J区,D区の順序であった。3)土層別の根のDbはHH,HL,J区では下層に行くほど低下したが,T区では変化しなかった。4)全土層のコアに含まれる根の総根長および乾物重はT区でもっとも高く次いでHL区であったが,HH,J,D区では低かった。5)各処理区・土層を通じてDbと総根長・乾物重との間には有意な正の相関が認められた。しかし根長比との間には相関が認められなかった。6)根のDbとLAIおよび草丈との間に有意な正の相関が認められた。また根のDbと単位面積あたりの穂数,稔実歩合,玄米収量との間に有意ではないが高い正の相関が存在した。これらの相関はいずれもDbと総根長および根乾物重との間の相関よりも高かった。以上のことから,フラクタル次元で表される根の形態の複雑さの程度は,土壌中の根長や根乾物分布密度の推定のための良い指標となりうること,根のフラクタル次元がイネの地上部の生育と玄米収量とも密接に関連していることが示された。
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[Publications] Tatsumi,J.: "Fractal characterization of root system architecture in legume seedlings." Fracral Frontiers,M.M.Novak and T.G.Dewey eds.World Scientific,Singapore.359-365 (1997)
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[Publications] 巽 二郎: "根系のフラクタル次元測定法に関する研究" 日本作物学会紀事. 66別1. 214-215 (1997)
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[Publications] Ketipearachchi,K.W.: "Dynamics of root system architecture of legume species in relation to seedling age." 根研究会・ファイテク研究会合同研究会発表要旨. 113 (1997)
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[Publications] 巽 二郎: "ダイズ根系におけるフラクタル次元の分布特性" 根研究会・ファイテク研究会合同研究会発表要旨. 56 (1997)