1997 Fiscal Year Annual Research Report
他花受粉性ハウス作物における送粉昆虫マメコバチの実用化
Project/Area Number |
07556016
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
前田 泰生 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20144694)
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Keywords | マメコバチ / 人工巣 / ハウス作物 |
Research Abstract |
他花受粉性のハウス作物(イチゴ.メロン,トマトなど)の送粉昆虫としてはマメコバチを実用化し,農業技術として普及させるには商品化を図る必要がある.これを具現するには,1.周年利用できる管理技術の開発,2.大量増殖法の開発,3.人工巣の開発,4.受粉効果の実証が不可欠である.本年度は3を実施し,全体のまとめを行なった.3の結果の要約は以下の通りである.人工巣が求められる条件には,1.好んで選択し営巣すること,2.天敵その他による幼態の死亡率が低いこと.3.巣当りの育房数とメス比が低下しないこと,4.ハチが迷うことなく自分の巣に帰巣すること,5.巣内の天敵が防除しやすいこと,6.価格が安すことなどである. 1.試作した人工巣は,発砲スチロール製のトレイが半円形の溝をもつもので,これを2枚重ね合わせてできる円形の孔に紙筒を挿入するタイプである. 2.天然巣(葦筒)と人工巣を同時供試すれば,選択性は前者に比べて悪かったが,単独で供試すれば,定着率には遜色がなかった. 3.天敵その他による死亡率は,人工巣と天然巣で差異がなかった. 4.巣当りの育房数とメス比も,天然巣のそれらと同値であった. 5.ハチの迷いは,発砲スチロールのトレイとこれに挿入する紙筒の先端を異なった色のペンキで着色し,色の識別を促すことで解消できた. 6.発砲スチロールに比較的高いコストを要するが,これは耐久性があるのでかなりの年月にわたり再利用でいる.紙筒も大量生産体制に入れば,天然巣の葦筒の準備に要するコストよりも安い. これらのことから,今回試作した人工巣は十分に実用化できると判断した.
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Research Products
(1 results)