1996 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地の生産緑地における節水的灌漑計画と塩類モニタリング・システムの開発研究
Project/Area Number |
07556054
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Section | 試験 |
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 太平 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (00032102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
取出 伸夫 佐賀大学, 農学部, 助教授 (70212074)
藤山 英保 鳥取大学, 農学部, 教授 (90108796)
大槻 恭一 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (80183763)
井上 光弘 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (90032309)
神近 牧男 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (20032310)
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Keywords | 点滴灌漑 / 緑化基盤 / 土壌面蒸発ロス / 不均一な溶質移動 / 数値実験 / 放射性核種 / オートラジオグラフィ / 分光センサー |
Research Abstract |
本研究の目的は、乾燥地の生産緑地を想定しながら、節水灌漑の用水計画に必要な灌漑諸元値を明らかにすると同時に、新しい塩類モニタリング・システムの開発を試みるものである。2年目は4種類の研究をさらに進め、塩類モニタリング・システムの開発に必要な研究成果の整備を試みた。1.生産緑地の灌漑試験:緑化基盤(TG)における点滴法の効率的灌漑方式を確立するため、傾斜勾配20度のマルチ区(3成層、砂/TG/砂)と対照区(2成層、TG/砂)における水分動態について検討した。マルチ区では斜面上部に滴下した灌漑水を斜面下方まで一様に分布させることができ、さらに土壌面蒸発ロスの抑制効果が明らかであった。2.放射性同位元素の塩類によるトレーサ実験:土壌中の塩類の分布を非破壊によって追跡することを目的として,ガンマ線放出核種である^<22>Naの使用とX線フィルムによるオートラジオグラフィの利用を検討した。縦30cm,横30cm,幅5cmのアクリル槽に充填した砂丘砂中の中央表面に^<22>Na(1.85MBq)を含む20mmol/L塩化ナトリウム溶液200mLを2時間で滴下し,その後土壌層とアクリル壁間の硬質ガラス板にX線フィルムを接触させることによって^<22>Naの二次元分布を可視化することができた。3.塩類動態の2次元数値実験:乾燥地土壌の塩類モニタリングシステム開発のために、土中水の流れが不均一な仮想的な2次元の圃場を設定し、Richards式、分散移流式に基づく数値実験を行った。不飽和定常流の生じている圃場の表面に、塩溶液を与えたときの圃場断面平均の溶質濃度分布を求め、分散移流式(CDE)の適用限界や溶質移動特性の関係を調べた。また数値実験から求まる溶質移動特性と、実現の圃場実験とを比較することにより、数値実験の特性と適用限界についての検討を行った。4.リモートセンシング手法による地表面の植生・塩類域の定量化:リモートセンシング手法に関連する各要因について詳細に検討した。即ち、植生、砂地、塩が混在する地表面の各被覆率を分光反射率から推定する方法を確立し、植生の立体構造と分光反射特性の関係を明らかにした。さらにアオコ濃度を簡易に測定する分光センサーを開発した。
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[Publications] Toride,N.and F.J.Leij.: "Convective-dispersive stream tube model for field-scale solute transport I.Moment Analysis." Soil Sci.Soc.Am.J.60. 342-352 (1996)
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[Publications] Toride,N.and F.J.Leij.: "Convective-dispersive stream tube model for field-scale solute transport II.Examples and calibration." Soil Sci.Soc.Am.J.60. 352-361 (1996)
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[Publications] Mallants,D.,M.Vanclloster,N.Toride,M.Th.van Genuchten and J.Feyen.: "Comparison of three methods to calibrate TDR for monitoring solute movementin undisturbed soils" Soil Sci.Soc.Am.J.60. 747-754 (1996)
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[Publications] Torii,K.,Yamamoto,T.,Kamichika,M.,Otsuki,K.,Hayashi,S.,Shinmura,Y.,Hoshi,T.,Keshavarz,A.and Pazira,E.: "Application of satellite image data to large-scale water use system in Arid Areas of Iran" Proceedings of the 17th Asian Conference on Remote Sensing,Colombo,Sri Lanka. 1-6 (1996)
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[Publications] 伊藤健吾,大槻恭一,神近牧男: "分光センサーによるアオコ濃度の推定" 水文・水資源学会誌. 9(5). 457-462 (1996)
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[Publications] 井上光弘,唐津 裕,飯村康二,本名俊正,山本太平,山本定博: "不飽和砂中のリーチングに伴う塩と水の同時測定" 日本砂丘学会誌. 43(1). 22-28 (1996)