1996 Fiscal Year Annual Research Report
機能性成分及び環境耐性成分としてのソルビトールの遺伝子の解析と果樹器官への導入
Project/Area Number |
07556078
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山木 昭平 名古屋大学, 農学部, 教授 (70210341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 三男 果樹試験場興津支場, 研究員
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Keywords | ソルビトール-6ーリン酸脱水素酵素 / S6PDH / S6PDHcDNA / S6PDHcDNAキメラ遺伝子 / S6PDHmRNA / S6PDH形質転換カンキツ |
Research Abstract |
ソルビトール-6ーリン酸脱水素酵素(S6PDH)のcDNAをバイナリーベクターpB1121に導入し、CaMV35Sプロモーター支配下においた組み換えバイナリーベクターpB1121-S6Pを作成し、アグロバクテリウムを介して5品種のカルスに感染させ、キメラ遺伝子による形質転換カンキツ細胞を得た。このカルス細胞を培養して植物体を得ることに成功した。そこで、形質転換体と思われる植物体の成葉を集め、PCR法により遺伝子へのS6PDHcDNAの取り込みを確認した。現在、S6PDHのmRNAとタンパク質の発現をノザンブロット及びS6PDH抗体によるウェスタンブロットにより確認中である。一方、モモ葉及びリンゴ葉を用いてS6PDH遺伝子の発現調節を検討した。その結果、S6PDHはスクロースーリン酸合成酵素のように遺伝子発現の日変動を示さなかった。S6PDHは幼葉では発現せず成葉になるにつれて発現量が増え、老化すると再び低下することが示され、葉のシンク器官からソース器官への切り換えと密接に関係することを示した。さらに、S6PDH遺伝子の発現は果実が肥大生長する時期に急激に増加し、成熟期は低下したが、収穫後より晩秋にかけて再び漸増した。最初の発現量の増大は果実に同化産物を供給するため、2回目の増大は枝、幹、根の充実及び耐寒性獲得のために必要なソルビトールを供給するためと考えられた。また、ソルビトール代謝に重要な役割を果たすソルビトール酸化酵素についてもその単離、精製を試みた。しかしながらリンゴ葉の細胞壁画分より可溶化して部分精製することは出来たが、精製までは至っておらず、現在実験中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 坂西香,金山喜則,山木昭平: "ソルビトール-6ーリン酸脱水素酵素のモモ葉における発現." 園芸学会雑誌. 65(別). 152-153 (1996)
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[Publications] 伊藤祐司,小森貞男,大村三男,金山喜則,山木昭平,副島淳一: "ソルビトール合成酵素遺伝子を増幅した形質転換リンゴの作出." 育種学雑誌. 97(別). in-press (1997)
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[Publications] 遠藤朋子,森口卓哉,大村三男: "カンキツ果実組織におけるトランジェントアッセイ系の開発." 育種学雑誌. 96(別). 130-131 (1996)