1996 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原菌の病原性遺伝子産物の立体構造解析に基づく薬剤作用モデルの構築と薬剤設計
Project/Area Number |
07556080
|
Section | 試験 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古澤 巌 京都大学, 農学部, 教授 (10026594)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中根 弘之 トヨタ自動車株, 研究部バイオラボ, 研究員
小畑 充生 トヨタ自動車株, 研究部バイオラボ, 研究員
久保 康之 京都府立大学, 農学部, 助教授 (80183797)
|
Keywords | メラニン / カルプロパミド / サイタロン / Colletotrichum lagenarium / Magnaporthe grisea / トリヒドロオキシナフタレン / 付着器 |
Research Abstract |
ウリ類炭そ病菌のメラニン合成酵素サイタロン脱水酵素(SCD1)および1,3,8-トリヒドロキシナフタレン還元酵素(THR1)を大腸菌内で発現、精製し、これらの酵素を用いて、イネいもち病菌防除薬剤カルプロパミドの作用機構の解析、および付着器の分化、非分化過程におけるメラニン合成酵素発現パターンの解析を行った。SCD1の発現にはpMALシステム、THR1の発現にはpETシステムを用い、大腸菌で発現した蛋白質をアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。近年、イネいもち病菌に対する新規防除薬剤としてカルプロパミドが開発され、その作用機作にメラニン合成系への関与が示唆されている。そこで、形質転換大腸菌から精製したSCD1を用いたin vitro反応系を確立し、カルプロパミドの本酵素活性に対する阻害作用を検討した。 その結果、本薬剤によるメラニン合成阻害は、直接的なSCD1の活性阻害によって引き起こされることが明らかになった。ウリ類炭そ病菌の付着器分化過程において、胞子や発芽管のメラニン化は見られず、付着器のみがメラニン化する。しかしながら、その制御機構は明らかにされていない。本菌胞子を24℃で培養した場合、培養開始12時間以内に成熟した付着器を形成するが、32℃で培養した場合、発芽管の伸長のみで付着器を形成しない。そこで、付着器分化型胞子および、非分化型胞子におけるメラニン合成酵素の発現パターンを検討するために、SCD1およびTHR1に対するポリクローナル抗体を調製し、ウエスタンブロット分析を行った。その結果、付着器分化型胞子では、SCD1、THR1はともにメラニン化と時間的に相関する発現パターンを示したのに対して、付着器未分化型胞子では、THR1の発現が認められなかった。
|