1995 Fiscal Year Annual Research Report
Ao層を用いた酸性雨に起因する森林土壌の酸性化防止技術
Project/Area Number |
07556099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 久義 東京大学, 農学部(林), 教授 (80191089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春田 泰次 東京大学, 農学部(林), 助手 (20012081)
芝野 博文 東京大学, 農学部(林), 講師 (00143412)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境センター, 助教授 (80211895)
丹下 健 東京大学, 農学部, 助教授 (20179922)
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Keywords | 森林帯 / 森林土壌 / 有機物堆積層 / 酸性雨 / 総塩基量 / 有機酸 / 土壌微細構造 / 鉱物の風化変質 |
Research Abstract |
わが国の代表的な森林である、暖温帯常緑広葉樹林として東京大学愛知演習林内でカシ・シイ林を、冷温帯落葉広葉樹林として鰺ケ沢営林所管内の白神山地及び田沢湖営林所管内の金倉沢国有林内でブナ林を、及び亜高山帯常緑針葉樹林として東京大学秩父演習林内でヒノキ天然林をそれぞれ調査し、測定・分析用の有機物堆積層(Ao層)及び鉱質土壌試料を採取した。採取したAo層中のCa,Mg,Na,Kなどの酸性雨を中和する能力のある塩基類の単位重量当たの総量は、暖温帯常緑広葉樹林>冷温帯落葉広葉樹林>亜高山帯常緑針葉樹林の順であったが、各森林下のAo層は気温の低い寒冷なところ程厚く堆積しているので、単位面積当りの総塩基量はその逆の傾向を有することを明らかにした。しかし、分解不良が主な原因で厚く堆積したAo層では各種の有機酸が生成され、鉱質土壌を酸性化する傾向が強いとされている。そこで、調査地で採取した各種Ao層をカラムに充填し、現地と同じような水分環境下で透水試験を行い、流出する有機酸の種類と量を新規に購入したイオンクロマトグラフィーを用いて明らかにし、鉱質土壌の酸性化との関連を解明するための試験を開始した。 また、同時に採取したAo層の未攪乱試料を風乾した後、真空含浸装置で不飽和ポリエステル樹脂を注入して固め、ダイヤモンドカッターで切断後自動研磨装置やガラス板研磨により厚さ25-30μの土壌薄片を作製し、Ao層の微細形態や分解変質による腐植質物質生成状況を調べ、各森林構成樹種別の有機物の分解特性を明らかにしたり、Ao層直下の鉱質土壌の微細構造や鉱物組成及びその風化変質状況を調べ、Ao層からもたらされる有機酸が与える影響を明らかにする研究を継続中である。
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