1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子シャトリング法による硬質マカロニコムギの育成
Project/Area Number |
07556134
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
常脇 恒一郎 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (20026438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 達夫 ホクレン農業総合研究所, 植物工学科, 研究員
池口 正二郎 ホクレン農業総合研究所, 植物工学科, 研究員
松岡 由浩 福井県立大学, 生物資源学部, 助手 (80264688)
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Keywords | 遺伝子シャトリング / パンコムギ / マカロニコムギ / 製パン性 / 秋播性 / 半矮性 / 染色体工学 |
Research Abstract |
本研究では、染色体工学的手法を用いて次の3種のマカロニコムギ系統を育成するための研究を実施した。それぞれの概要は以下のとおり。 (1)高製パン性マカロニコムギ系統の育成:昨年度までに、Glu-Dld遺伝子をもつパンコムギ2品種とマカロニコムギの1D(1A)及び1D(1B)染色体置換系統を交配し、得られた雑種を自家受精してF_2種子を採取した。本年度は、それら種子を半切りにし、無胚部分を用いてグルテニンの分析を、有胚部分を用いて染色体数を決定し、Glu-Dldホモで、2n=28または29の個体を選抜した。そして、これら個体を自家受精して出来るだけ多量の種子を生産し、これを用いて製パン性に関する試験を行った。その結果、Glu-Dld遺伝子はマカロニコムギのタンパク質含量に対しては特に影響しないが、ミキシング耐性を向上させ、それによって製パン性を良くすることが判明した。その効果は1D(1B)置換系統よりも1D(1A)置換系統の方が優れていた。 (2)半矮性マカロニコムギ系統の育成:昨年度得られた半矮性系統に正常マカロニコムギを交配した雑種をつくり、染色体対合を観察した。その結果、この系統は4A染色体上に存在するRht1遺伝子をホモにもつことが判明した。さらに、この系統はvrn1遺伝子についてもホモになっており、秋播性についても固定していた。その結果、この系統は本研究で育成を意図した半矮性秋播性マカロニコムギ系統であることがわかった。次にRht2遺伝子導入については、農林10号とマカロニコムギの4D(4A)置換系統の間の雑種第2代において半矮性で2n=29及び2n=31のF_2植物を得、その次代において半矮性個体を選抜した。これらはRht2遺伝子をもつ半矮性マカロニコムギ系統である可能性が高い。 (3)秋播性マカロニコムギ系統の育成:農林10号とマカロニコムギの5D(5B)置換系統とのF_1雑種に5D(5B)置換系統を戻し交雑した植物の自殖次代(B_1F_2世代)において晩生で2n=29及び2n=31の個体を選抜し(残念ながら2n=28の個体は得られなかった)、その次代において強い秋播性の7個体を選抜することが出来た。これらは強い秋播性に必要なvrn1、vrn3両遺伝子をもつマカロニコムギである可能性が高い。
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Research Products
(2 results)