1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07556138
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
紙谷 智彦 新潟大学, 農学部, 助教授 (40152855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中静 透 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (00281105)
石塚 森吉 森林総合研究所, 物質生産研究室, 室長
竹内 公男 新潟大学, 農学部, 教授 (60012085)
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Keywords | 落葉広葉樹林 / 施業 / 人工ギャップ / 植物種多様性 / 更新 / 全天写真 / 成長 / ブナ |
Research Abstract |
一般に、落葉広葉樹天然林では再生段階の異なる更新パッチがモザイクとして分布し、森林全体として再生複合体を形成していることが知られている。一方、薪炭林は階層構造が未発達であるために林分構造が単純で、かつ過去の伐採が繰り返し短い周期で行われていた林分ほど種構成が貧弱である。 本研究は、このような薪炭林に天然林型のモザイク構造を創出することによって、植物種の多様性が高い用材林に誘導する技術を開発することを目標とした。そのために、人工ギャップを創出する基本的な施業方法を提案した。そして、人工ギャップ創出後の光環境を予測するために、林床で撮影した全天写真を画像処理することによって、林冠木を除去する前に林床の光環境の変化を予測する方法(消去法)を考案した。そして、得られた推定値をもとに、林床の光レベルを求める経験式を作成した。 つぎに、薪炭林に7個の人工ギャップを創出したところ、種密度と植生の多様度はギャップサイズとともに高くなった。しかし、実生発生密度はギャップサイズに依存しなかった。樹種によって実生発生数に寄与する環境要因は異なっていた。実生の発生密度は林冠条件の違いにより異なる樹種(ミズメ・スギ・コシアブラ)と異ならない樹種(イタヤカエデ・ブナ)があった。一方、人工ギャップ周辺の幹の生長はいずれの樹種でも良好になっていた。ギャップ形成後のブナの基部断面積相対成長率はブナ自身のDBHによって決定されていた。比較的陽性の性質を持つミズナラとホオノキは、ギャップ面積の大きさに応じて生長が良好になることがわかった。またミズナラの場合には、とくに隣接個体による被圧の影響が大きいことも明らかになった。 これらの結果から薪炭林に人工ギャップを創出することの有効性が明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kamitani,T.: "The effect of selective cutting on the structure and regeneration of natural mixed forest dominated by Cryptomeria japonica and Fagus crenata in Sada experimental forest of Niigata University,central Jpan" Research Bulletin of the Niigata University Forests. 29. 15-26 (1996)
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[Publications] Nakashizuka,T.: "Landscape patterns and plant species diversity of forest reserves in the Kanto region,Japan" Vegetatio. 124. 107-114 (1996)
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[Publications] Yoshida,T.: "The stand dynamics of a mixed coppice forest of shade-tolerant and intermediate species" Forest Ecology and Management. (印刷中).
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[Publications] 紙谷智彦: "生物的多様性を意識した広葉樹二次林の施業" 森林計画研究会会報. 372. 2-6 (1996)
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[Publications] 中静透: "植物の種多様性から見た雑木林" 森林計画研究会会報. 372. 6-11 (1996)
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[Publications] 紙谷智彦: "雑木林の更新技術(亀山 章編,雑木林の植生管理)" ソフトサイエンス社, 11(303) (1996)
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[Publications] 中静透: "雑木林の種多様性(亀山 章編,雑木林の植生管理)" ソフトサイエンス社, 8(303) (1996)