放牧草種の環境適応・調和型育種を支援する分子生態統合化評価システムの開発

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07556144
• Section: 試験
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 島本 義也 北海道大学, 農学部, 教授 (00001438)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 橋爪 健 雪印種苗株式会社, 主任研究員 ; 山下 雅幸 静岡大学, 農学部, 助教授 (30252167) ; 澤田 均 静岡大学, 農学部, 教授 (10183831) ; 杉山 修一 弘前大学, 農学部, 助教授 (00154500) ; 中嶋 博 北海道大学, 農学部附属農場, 教授 (40001474)
• Keywords: 競争力 / ストレス耐性 / トレードオフ / ペレニアルライグラス / オ-チャドグラス / シロクローバ / 耐凍性 / 遺伝子

Research Abstract

RAPD分析およびアイソザイム分析を用いて、ペレニアルライグラスとシロクローバの遺伝解析を進めた。RAPD分析には昨年度スクリーニングしたランダムプライマーを用いた。ペレニアルライグラスでは、ヨーロッパと日本の生態型および品種内の遺伝的多様性を評価し、原産地のヨーロッパと比較して栽培の歴史の浅い日本の生態型や品種の遺伝的多様性が小さいことを明らかにした。シロクローバでは、RAPD分析によるクローンおよび品種の識別法を確立した。クローン(個体)は複数のプライマーを組み合わせることにより識別することができた。一方、品種内には豊富な遺伝変異が存在するが、特定のDNA断片の出現頻度が品種間で異なるが、多変量解析により高い確率で品種を識別できることが明らかとなった。
ペレニアルライグラス、オ-チャドグラス、トールフェスクのイネ科主要3草種について混播草地の相対優占度に与える遺伝的要因の影響を評価したところ、種内には種間の競争関係を逆転するほど大きな遺伝変異が存在し、育種により競争適応型の品種を育成する可能性が明らかとなった。また、競争力とストレス耐性(放牧耐性、耐凍性、乾燥耐性)の相互関係を調べたところ、両者間にはトレードオフの関係にあり、この関係を克服する品種を育成する戦略を考える必要がある。
ストレス耐性を支配する生理的機構を解析中である。
ペレニアルライグラスにおけるハードニング時に、発現が誘発または抑制される遺伝子をクローニングし、その機構を解析中である。

Research Products

• [Publications] 荻ノ迫善六・山下雅幸・澤田 均・北島俊二: "日本国内のシロクローバ自生集団におけるシアン生成の緯度的及び高度的クライン" 日本草地学会誌. 42. 242-246 (1996)
• [Publications] 山下雅幸・島本義也: "ペレニアルライグラス(Lolium perenne. L.)における耐凍性の品種群による分化" 日本草地学会誌. 42. 57-62 (1996)
• [Publications] 荻ノ迫善六・澤田 均・山下雅幸: "富士山麓の異なる標高に自生するシロクロバ-(Trifolium repens L.)集団間の外部形態、バイオマス分配、クローナル成長パターンの変異" 日本草地学会誌. 41. 319-324 (1996)
• [Publications] Sugiyama S. and F. A. Bazzaz: "Size dependency of reproductive allocation : The in fluence of resources, competition and genetic idetnity in Abutilon" Functional Ecology. (in press). (1997)
• [Publications] Sugiyama S. and F. A. Bazzaz: "Phenotypic plasticity of seed output to soil nutrients and density in Abutilon theophrasti : Implications to maintenance of genetic variation." oecologia. (in press). (1997)