1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07557027
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Section | 試験 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 耕一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10262073)
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Keywords | エイズ / カリニ肺炎 / ニューモシスチス・カリニ / 抗原変換 / 表面抗原遺伝子 / テロメア / 遺伝子スイッチ / 日和見感染 |
Research Abstract |
カリニ肺炎をおこすニューモシスチス・カリニの主要表面抗原(MSG糖蛋白質)は、病原性の中心分子であるが、その機能・動態、及び創薬・臨床応用に関する研究を実施し、次のような研究成果を得た。 1.MSG蛋白質は多型、多重性の遺伝子ファミリーによりコードされるが、14ある染色体のひとつのテロメア領域にだけ発現部位が存在し、ゲノムDNA間の組換え反応によってMSG遺伝子の発現が切り替わる「抗原変換スイッチ」を発見した。これは、ニューモシスチス・カリニが属する真菌では、初めて発見された抗原変換である。 2.MSG抗原の多型性はワクチン化の障壁となっていたが、MSG遺伝子上での可変部、保存部が特定されたので、ようやく本格的なワクチン開発の道が開いた。これまでに、全てのMSG蛋白質に保存されるN端109アミノ酸の組換え体ペプチドを過剰産生、精製する系を作成し、ワクチン試験およびグロブリン製剤開発の組換え抗原の供給態勢を整えた。 3.新しい抗真菌性化合物として開発されたBenanomicin Aが、優れた抗カリニ作用をもつことを、ヌードマウスを使ったモデル動物実験によって明らかにした。 4.ニューモシスチス・カリニは未だにin vitroの培養ができないため、動物モデルに依存しないような、新規な抗カリニ薬のスクリーニング系の作成が望まれる。我々はニューモシスチス・カリニとその近縁性が近年指摘されている酵母とのキメラ細胞あるいはキメラ染色体を作成して、ニューモシスチス・カリニの遺伝子発現系(in vivo)を作成し、これをスクリーニング系の構築に利用する戦略をたて基礎研究を開発した。その結果これまでに、分裂酵母がニューモシスチス・カリニ遺伝子の発現系として有用なことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura,Y.,Ito,K.and Isaksson,L.A.: "Emerging understanding of translation termination (Minireview)." Cell. 87. 147-150 (1996)
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[Publications] Ito,K.,Ebihara,K.,Uno,M. and Nakamura,Y.: "Conserved motifs of prokaryotic and eukaryotic polypeptide release factors:tRNA-protein mimicry hypothesis." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 93. 5443-5448 (1996)
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[Publications] Matsumura,K.,Ito,K.,Kawazu,Y.,Mikuni,O.and Nakmura,Y.: "Suppression of temperature-sensitive defects of polypeptide release factors RF-1 and RF-2 by mutations or by an excess of RF-3 in Escherichiacoli." J.Mol.Biol.258. 588-599 (1996)
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[Publications] Yanofsky,C.,Horn,V.and Nakamura,Y.: "Loss or overproduction of polypeptide releasefactor 3 influences expressionof the tryptophanase operon of Escherichia coli." J.Bacteriol.178. 3755-3762 (1996)
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[Publications] Nakamura,Y.: "Regulation of peptide chain termination." In:Posttranscriptional Control of Gene Expression.edited by Resnekov,O.& von Gabain,A.(Springer-Verlag,NY).73-81 (1996)
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[Publications] Inada,T.and Nakamura,Y.: "Autogenous control of the suhB gene expression of Escherichia coli." Biochimie. 78. 209-212 (1996)