1996 Fiscal Year Annual Research Report
Ca結合蛋白、オステオポンチンの骨系統疾患の診断・治療への応用
Project/Area Number |
07557061
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小林 邦彦 北海道大学, 医学部, 教授 (60091451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真船 直樹 北海道大学, 医学部, 助手 (70241304)
千葉 仁志 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (70197622)
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Keywords | オステオポンチン / Ca結合蛋白 / 母乳 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
オステオポンチン(以下OPと略)は骨形成における骨芽細胞、破骨細胞の動員や、Ca代謝に関与する蛋白質で、母乳中に多量に存在する.申請者らは、成長過程の乳児や、骨粗鬆症をはじめとする種々の骨系統疾患でOPが何らかの役割をしており、この測定は特定の疾患、特に骨粗鬆症の診断、病態の把握に有用であるという作業仮説をたて、血清中のOP値の変化を検索することを目的として血液やミルク中のOPを測定する方法の開発を試みた. [結果] (1)母乳OPを精製し、そのN末端アミノ酸配列をしらべ、OPと判定した。 (2)OPは燐酸を多量に含むため、アルカリホスファターゼによる脱燐酸化がOPの精製、抗体作製に有効だった. (3)抗母乳OP抗体は精製抗原と沈降反応を呈する抗体であり、nativeおよび分解産物とも良好に反応した. (4)この抗体を用いて、母乳OPの測定酵素抗体法(ELISA)を確立した. (5)血清のOPの同定を抗母体OP抗体で行ったが、沈降反応は認められず母乳OPと同一の物質の存在は否定的であった.しかし、母乳OPと検査の反応系を阻害する物質があることから、何らかの関連物質であることは明らかである。 [考察]母乳OPは分子の性格としては、骨や結石に存在するオステオポンチンに一致するが、従来その存在が示唆されていた血清のオステオポンチンは、明らかに母乳のOPと異なる性格の物質である可能性が明らかになった.すなわち、血清中のものは一部抗原性を共通するものの、分子量の点また抗体との反応性も大きく異なる.従来、動物におけるOPは血清と母乳での同一と考えられているが、これは誤りであると考えられている.今後この物質の生活の検索、由来、機能を検索する必要がある.
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