1996 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的手法による新しい血管作動性物質欠損モデル動物の開発 -ナトリウム離農ペプチドファミリーの臨床的意義の解明と遺伝子治療への応用-
Project/Area Number |
07557072
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正治 サントリー生物医学研究所, 創薬部, 部長(研究職)
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 部長(研究職) (00112417)
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Keywords | 心房性ナトリウム利尿パプチド / 脳性ナトリウム利尿ペプチド / C型ナトリウム利尿ペプチド / 心臓ホルモン / 局所調節因子 / 染色体 / ジーンターゲティング / ES細胞 |
Research Abstract |
1.BNP遺伝子あるいはCNP遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウス)の開発:129/Svマウス染色体DNAライブラリーより、マウスBNP遺伝子及びCNP遺伝子をクローニングした。BNP遺伝子の第2,3エクソンあるいはCNP遺伝子の第1エクソンをネオマイシン耐性遺伝子に置換した。ターゲティングベクターを作製し、ES細胞に導入後、相同組み換え体を選別した。これをマウス胚にマイクロインジェクションし、BNPとCNPの雄性キメラマウスを得て、ヘテロ接合体の作製後にホモ接合体を得つつある。 2.ANP遺伝子及びBNP遺伝子の染色体上の位置関係:サザンブロット解析により、129/SvマウスBNP遺伝子を含むファージクローンがANP遺伝子を含むことが明らかになり、ANP遺伝子とBNP遺伝子が同一方向に約12kb離れて隣接して存在することが明らかになった。又、ヒト染色体DNAを用いたPCR法にて、ヒトBNP遺伝子がANP遺伝子の上流約8kbの位置に隣接して存在することが明らかとなった。 3.ラット培養心筋細胞肥大モデルにおけるBNPの遺伝子発現調節:新生仔ラット培養心室筋細胞を調製し、FT-1添加による心筋細胞肥大モデルを作製した。この肥大心筋細胞におけるBNP遺伝子発現は迅速に亢進することを証明した。又、BNPmRNAの半減期はANPmRNAと比較して短く、BNPmRNAが細胞内において急速に分解されることを示した。以上より、BNPがANPと異なる遺伝子発現調節を受けることが証明され、心室負荷において、BNPがANPと異なる病態生理的意義を有する可能性が示唆された。 4.内皮・血管平滑筋細胞共存培養系におけるCNPの分泌調節とその意義:ウシ頚動脈より得られた内皮細胞(EC)に血管平滑筋細胞(SMC)を重層し付着させたEC/SMC共存培養系におけるCNP分泌は、EC単独培養群と比較して著しく増加していたが、ECとSMCを隔離したところCNP分泌亢進は認められなかった。共存培養系培養上清中の活性型TGF-β濃度は、EC単独培養群あるいはSMC単独培養群と比較して上昇しており、SMCに添加すると培養上清中のCNPによりSMCの増殖が抑制された。以上より、ECとSMCの直接接触により活性化されたTGF-βによりECからのCNP分泌が著しく亢進し、SMCの細胞内cGMP濃度を上昇させ、細胞増殖を抑制することが明らかとなった。増殖性血管病変ではECより分泌されるCNPのSMC増殖抑制作用が、病態の進展に防御的に働いている可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] O.Nakagawa et al.: "Rapid transcriptional activation and early mRNA turnover of brain natriuretic peptide in cardiocyte hypertrophy -Evidence for brain natriuretic peptide as an "emergency" cardiac hormone against ventricular overload-" J.Clin.Invest.96. 1280-1287 (1995)
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[Publications] N.Hama et al.: "Rapid ventricular induction of brain natriuretic gene expression in experimental acute myocardial infarction." Circulation. 92. 1558-1564 (1995)
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[Publications] Y.Ogawa et al.: "Characterization of the 5'-flanking region and chromosomal assignment of the human brain natriuretic peptide gene." J.Mol.Med.73. 457-463 (1995)
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[Publications] N.Tamura et al.: "Two cardiac natriuretic peptide genes (atrial natriuretic peptide and brain natriuretic peptide) are organized in tandem in the mouse and human genomes." J.Mol.Cell.Cardiol.28. 1811-1815 (1996)
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[Publications] Y.Komatsu et al.: "Regulation of secretion and clearance of C-type natriuretic peptide in the interaction of vascular endothelial cells and smooth muscle cells." Hypertension. 14. 585-592 (1996)
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[Publications] T.Naruko et al.: "C-type natriuretic peptide in human coronary atherosclerotic lesions." Circulation. 94. 3103-3108 (1996)
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[Publications] Y.Ogawa et al.: "Hypertension : Psthophysiology,Diagnosis,and Management" Raven Press,Ltd, 8 (1995)
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[Publications] K.Nakao et al.: "Molecular Reviews in Cardiovascular Medicine" Chapman & Hill, 9 (1996)