1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子増幅法による口腔病原性細菌の迅速簡易定量化を応用した歯科疾患診断法の開発
Project/Area Number |
07557136
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山下 喜久 九州大学, 歯学部, 助教授 (20192403)
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Keywords | 口腔病原性細菌 / 遺伝子増幅法 / リスクファクター |
Research Abstract |
本研究における前2年間の研究では歯周病細菌(Porphyromonas ginigvalis、Actinobacillus acitnomycetemcomitansおよびTreponema denticola)およびう蝕細菌(Streptococcus mutansおよび Streptococcus sobrinus)のそれぞれに対して特異なDNA断片を増幅するPrimerの設計開発に成功した。本年度はこれらのPrimerを用いて、デンタルプラーク中に存在するこれらの口腔病原性細菌を定量的に把握するため、増幅されたそれぞれのDNA断片の量を基準としてデンタルプラークから採取したサンプル中に含まれる目的の鋳型DNA量を定量化する方法の開発を試みた。定量化のためには、ハイブリダイゼイション法を応用した比色定量法を用いた。各鋳型DNAから増幅されるそれぞれのDNA断片に特異的に相補的な結合能を示す1本鎖DNAを予め調製し、これを96穴マイクロタイタ-プレートに張り付けて捕獲プローブとして用いることで、増幅されたDNA断片量を比色的に定量した。また、遺伝子増幅反応中の誤差を最小限にするため、原核生物に存在しない塩基配列を持つ鋳型DNAを作成し、既知濃度に調製したこの鋳型から増幅されるDNA量を内部基準として用いた。この結果、Porphyromonas ginigvalis、ActinobacillusacitnomycetemcomitansおよびTreponema denticolaなどの歯周病細菌数は10^2から10^6の範囲で定量的に捉えることができるようになった。さらに、これらの口腔病原性細菌に加え非病原性細菌を広く検出できるユニバーサルPrimerを設計することでプラーク中の全細菌数を定量化して、全細菌に占める病原性細菌の割合の定量的な評価法を確立した。現在、九州大学歯学部付属病院予防歯科の外来患者から採取したプラークについて本比色定量法による評価を行い、この評価結果と歯周病の臨床症状の関連を明らかにすることで。プラーク中の各病原細菌の定量的な把握とその臨床症状の関連を明らかにしているところである、また、う蝕細菌についても同様の操作を行うことで、う蝕細菌の診断法が確立できる事がほぼ明かとなった。
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[Publications] Yasuo Yoshida et al.: "Identication of a genetic locus essential for serotype b-specific antigen synthesis in Actinobacillus actinomycetemcomitans" Infenction and Inmmunity. 66・1. 107-114 (1998)
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[Publications] Noboru Yamaguchi et al.: "Binding of the capusle-like serotype-specific polysaccharide antigen and the lipopolysaccharide from Actinobacilllus actinomycetemcomitans to human complement C36" Oral Microbiology and Immunology. (印刷中).