1996 Fiscal Year Annual Research Report
製剤素材の開発-蛋白質及び多糖類加水分解物の速効性用製剤素材としての有用性評価
Project/Area Number |
07557146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 試験 |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小田切 優樹 熊本大学, 薬学部, 教授 (80120145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中上 博秋 第一製薬(株), 製剤研究センター, 主任研究員
今井 輝子 熊本大学, 薬学部, 教務員 (70176478)
末永 綾香 熊本大学, 薬学部, 助手 (20040313)
今村 順茂 熊本大学, 薬学部, 助教授 (30040314)
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Keywords | 製剤素材 / 蛋白質 / 多糖類 / 卵白アルブミン / カゼイン / 毒性 / 吸収性 / 溶出特性 |
Research Abstract |
本研究は、医薬品及び食品の添加物として広く利用されているケラチン、カゼインなどの蛋白質並びにキトサン、アルギン酸などの多糖類を加水分解して得られる低分子量の蛋白質や多糖類、いわゆる低分子量の水溶性天然高分子を用いて、難水溶性の医薬品の水に対する溶解性と吸収性の向上を目的として企図されたものである。昨年度のケラチンの検討に引き続き、今年度は卵白アルブミン及びアゼインについて検討し、以下の知見が得られた。 1)卵白アルブミン-ビタミンE(VE)固体分散体(重量比5:1)からの溶出性は、卵白アルブミンの添加量の増大とともに上昇した。また、ビ-グル犬に卵白アルブミン-VE固体分散体を経口投与後のVEの血清中濃度はVE単独に比べ若干増大するにもかかわらず、この分散体にC_<14>脂肪酸を添加した場合には著しく血清中濃度の増大が観察され、血清中濃度-時間曲線下面積はビタミンE単独時に比べ、2.1倍であった。 2)ビタミンEは卵白アルブミンに分散させることにより、その熱安定性は顕著に改善された。 3)酵素的に加水分解された、カゼインA(平均ペプチド鎖3.3)及びカゼインB(平均ペプチド鎖17.4)は水に極めて溶けやすく、また、蛋白質分解酵素であるペプシン及びトリプシンを作用させたところ、ペプシンはいずれの低分子化カゼインに対して作用しなかったが、トリプシンはペプチド鎖の長いカゼインBを分解した。さらに、毒性試験の結果から、低分子化カゼインの高い安全性が保証された。 4)低分子化カゼインとプレドニゾロンとの混練体を調製し、その溶出性を調べたところ、カゼイン混練体からの薬物の溶出性は薬物単独に比べ極めて高かった。一方、カゼインBの場合は、初期においてのみ低い溶出性を示した。また、ビ-グル犬にこれらの混練体を経口投与した結果、カゼインAは初期血清中濃度を上昇させたのに対し、カゼインBは腸溶性のパターンを示すことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 辛英姫,小田切優樹(他2名): "Conjugation of Succinylated Gelatin T.Soybean Trpsin Inhinitor" J.Bioact.Compat Polyr.,. 11・(1). 3-16 (1996)
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[Publications] 野田潤一郎,小田切優樹(他2名): "Pharmacological Advantagls of Conjugation of Cu,Zn-Superoxide Dismutase with Succinylaled Keratin Fragment : Improvement of Biologial Properties" J.Pharmucol.Exp.Ther.279・(1). 162-171 (1996)
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[Publications] S.Ahmed,小田切優樹(他1名): "Evalration of Stereoselective Transdermal Transport and Concurrent Cutaneous Hydrolysis of Several Ester Prodrugo of Propranolol" Pharm.Res.13・(10). 1524-1529 (1996)
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[Publications] 藤井耕二,小田切優樹(他1名): "The Effect of Stoichiometry of Cisplatin-Alginate Complex on Pharmacokinetics of Cisplatin" Pharm.Sci.2・(10). 475-477 (1996)
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[Publications] 今井輝子,小田切優樹(他2名): "Alternats of Pharmacokinetics and Nephrotoxicity of Cisplatin by Alginates" J.Pharm.Sci.86・(2). 244-247 (1997)
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[Publications] 今井輝子,小田切優樹(他4名): "Mutual Effect of Egg Albuin and Fatty Acid on Bioacaility of dl-α-Tocopherol" Int.J.Pharm.(1997)