リウマチ因子糖鎖による早期慢性関節リウマチ患者の高精度検出法の開発

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07557226
• Research Institution: Tokai University, School of Engineering
• Principal Investigator: 水落 次男 東海大学, 工学部, 教授 (90133149)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中田 宗宏 東海大学, 工学部, 助教授 (00266371)
• Keywords: 慢性関節リウマチ / リウマチ因子 / IgG / 早期リウマチ / 血清検査 / リウマチ診断 / 糖鎖構造異常

Research Abstract

本研究では、ガラクトース欠損IgGと反応するリウマチ因子の糖鎖を特異的に検出する簡便・迅速な血清検査法を確立するとともに、この血清検査法の病態生化学的意義を明らかにすることを目的として研究を実施した。昨年度までの研究で、糖鎖工学的に作製したガラクトース完全欠損IgGと反応する血清中のリウマチ因子の糖鎖をレクチンで検出する96穴プレートを用いた簡便な血清検査法を構築した。そこで、この血清検査法を用いて、発症後一年以上経過したRA患者100例以上、発症後一年以内の早期RA患者100例以上の他に変形性関節症患者、全身性エリテマトーデス患者、肝疾患患者、健常人の血清について分析を行うとともに、従来法であるRAテストを用いても血清分析を行った。その結果、本検査法が、seronegative RA患者を効率よく検出できるだけでなく、従来のRAテストと比較してRA患者の特異的検出や早期RA患者の検出効率においてもはるかに優れていることが判明した。また、ARAの診断基準を満たしていないが本検査法で陽性を示した15例の患者について追跡調査を行った結果、15例中8例(53%)の患者が4ヶ月後にRAの診断を受けRAの治療を開始されたことが判明した。さらに、多数のRA患者について疾患の活動性を示すランスバリー指数と本検査結果との相関を詳細に検討した結果、本検査法が疾患の活動性をよく反映していることが判明した。これらの知見は、本検査法が従来のリウマチ因子測定法と比較して格段に優れていること、従来のRA診断基準を満たす前に本検査法でRAの発症予測ができる可能性があること、本検査法がRA患者の病態把握に有効であることを意味している。RAの早期治療の有効性やRAの早期診断において変形性関節症など他疾患との鑑別が重要であることを考えると、今後、本血清検査法がRAの診断と治療に大きく貢献するものと思われる。

Research Products

• [Publications] Moriwaki,T.: "Alteration of N-linked oligosacchaude structures of human chouonic gonadotiopin β-subunit by disruption of disulfide bonds." Glycoconjugate J.14. 225-229 (1997)
• [Publications] Nakata,M.: "Effect of aromatic nitroso-compounds on superoxide-generating activity in neutrophils." J.Biochem.122. 188-192 (1997)
• [Publications] Nasuda,A.-K.: "Mechanisms of nitroso compound induced inhibition of superoxide generation in neutrophils." J.Biochem.122. 550-555 (1997)
• [Publications] Shikata,K.: "Structural changes in the oligosacchaude moiety of human IgG with aging." Glycoconjugate J.(印刷中). (1997)
• [Publications] 中田宗宏: "糖鎖異常IgGとマンノース結合蛋白質による補体系の活性化" 臨床免疫. 29. 162-168 (1997)
• [Publications] 中田宗宏: "慢性関節リウマチにおけるIgG糖鎖異常の意義" 医学のあゆみ. 182. 568-572 (1997)
• [Publications] 水落 次男: "糖鎖生物学「HIVと糖鎖」" 共立出版(印刷中), (1998)