1995 Fiscal Year Annual Research Report
肺サーファクタントタンパク質B欠損による新生児呼吸障害の診断と治療法の開発
Project/Area Number |
07557248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小川 雄之亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90080126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 敬乃 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70223071)
金子 広司 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30224596)
荒川 浩 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90271238)
中村 利彦 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30255137)
清水 浩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90260843)
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Keywords | 新生児呼吸障害 / サーファクタント蛋白質B遺伝子 / 先天性肺胞蛋白症 / 先天性SP-B欠損症 / PCR法 |
Research Abstract |
近年,サーファクタント補充療法や体外式膜型人口肺でも救命し得ないような重篤な呼吸障害を有する新生児の中に,先天的に肺サーファクタント蛋白質のひとつのSP-Bを欠損している例があることが明らかにされた。このような欠損を有する新生児は,全例生後数カ月から1年以内に致死的な経過をたどり,剖検では肺胞蛋白症の所見が認められる。このSP-B欠損はSP-B遺伝子のエクソンに2塩基が挿入されることによって生じる翻訳の異常に起因するものであり,常染色体性劣性遺伝する。本研究は,新生児呼吸障害の発症原因としての先天性SP-B欠損症の診断法を確立するものであり,本邦における保因者を含む本疾患の実態を明らかにし,治療法の確立に資する目的とするものである。平成7年度は,まず検体(凍結組織,全血)からの遺伝子DNA抽出法の確立がなされた。特に全血からの遺伝子DNAの抽出は,120μlの微量検体からの抽出が可能となり,現在までに,呼吸障害を呈してNICUに入院となった未熟児を含む新生児約70例から遺伝子DNAが抽出された。次に,SP-B欠損の原因となるSP-B遺伝子変異の陽性および陰性コントロールを作製した。オーバーラップ・エクステンション法によって先天性SP-B欠損症で報告されている塩基配列の異常を人口的にPCR産物に導入した。このPCR産物は,TAクローニング法でベクターに入れられ,先天性SP-B欠損症の陽性コントロールとなる鋳型DNAが作られた。同様に陰性コントロールとなる鋳型DNAもクローニングされた。最後に,検体から得られた遺伝子DNA,陰性および陰性コントロールの鋳型DNAを用いて,先天性SP-B欠損症を診断するためのPCR法の反応条件が検討され,変異のみられる塩基配列部分の遺伝子DNAが増幅された。このPCR産物の制限酵素(Sful)に対する切断の有無をアガロースゲル電気泳動法で確認することによって,先天性SP-B欠損症を診断することが可能となった。
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