1997 Fiscal Year Annual Research Report
矯正治療に伴う歯根吸収のリスクファクターの診断法と予防法に関する研究
Project/Area Number |
07557282
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三谷 英夫 東北大学, 歯学部, 教授 (50014220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 薫 東北大学, 歯学部, 助手 (70202851)
篠田 壽 東北大学, 歯学部, 教授 (80014025)
加賀山 学 東北大学, 歯学部, 教授 (60004610)
清水 義之 東北大学, 歯学部・付属病院, 講師 (20187470)
清水 義信 東北大学, 歯学部, 助教授 (20005078)
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Keywords | 歯根吸収 / 矯正学的歯の移動 / 歯根膜細胞 / リスクファクター / 異常形態歯根 / 低石灰化象牙質 / メカニカルストレス / ストレスタンパク質 |
Research Abstract |
本学矯正科で矯正治療を行った症例を疫学的に検索すると、歯根形態は、歯根吸収が軽症であった群(軽症者群)の約94%が正常であったのに対して、重症であった群(重症者群)では約36%に異常が認められた。軽症者群の治療前の歯根形態はその3%が短根状、他の3%が屈曲状であった。一方、重症者群では短根状が15.2%、ピペット状が15.2%、短根状でピペット状が6.1%であった。治療前に歯根吸収が認められたのは、軽症者群では9.1%、重症者群では36.4%であった。治療前に歯根に異常形態もしくは歯根吸収像を認めたのは、軽症者群では12.1%あったのに対して、重症者群では51.5%であった。以上の結果より、矯正治療前の歯根の異常形態所見が、治療による歯根吸収の発現と密接に関連していることが示唆された。低カルシウム食を歯根形成期に与えることにより形成した、歯根象牙質に低石灰化領域を有し歯槽骨は正常なモデルラットを用いて矯正力により歯を移動したところ、正常歯根を有する対照群とは歯根吸収所見で大きな差は見られず、石灰化度の低い象牙質を有する歯根が、必ずしも歯根吸収に対する抵抗性が低いわけではないことが示唆された。セメント芽細胞を免疫組織化学的に調べると、骨芽細胞と類似した基質タンパクを産生しており、セメント芽細胞は骨芽細胞と同様に、破歯細胞の誘導に大きく関与していると考えられた。また、歯根膜細胞はin vitroで圧縮力を負荷するとHSP47,60,70の産生を増強してメカニカルストレスに対応するとともに、破骨細胞様、破歯細胞様細胞の形成を抑制することが明らかになった。以上の結果より、矯正治療に伴う歯根吸収の発現と重篤度の個人的なバリエーションには、歯根形態、歯根歯質、歯周組織の特性等のホスト側の要因が強く関わっており、これらの要因をさらに解析することにより、歯根吸収のリスクファクターの診断法と予防法がより明確になると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kagayama M., Sasano Y, et al: "Confocal microscopy of cementocytes and their lacunae and canaliculi in rat molars." Anat Embryol. 195. 491-496 (1997)
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[Publications] Kagayama M, Li HC, et al: "Expression of osteocalcin in cementblasts forming acellular cementum." J periodontal Res. 32. 273-278 (1997)
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[Publications] 清水 義信, 清水 義之, 三木 美麗, 他: "In vitro培養したヒト抹消血リンパ球/単球から形成された破骨細胞様細胞と骨吸収窩." 歯科基礎医学会雑誌. 39. 55-63 (1997)
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[Publications] 清水 義之, 岡崎雅子, 三谷 英夫: "圧縮力によるヒト歯根膜繊維芽細胞のストレスタンパク質発現の解析 -第2報-" 歯科基礎医学会雑誌. 39. 437 (1997)