1995 Fiscal Year Annual Research Report
膜融合型薬物運搬体としての細胞融合リポソームの開発研究
Project/Area Number |
07557312
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学部, 教授 (00098485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 康央 大阪大学, 薬学部, 助手 (50263306)
中川 晋作 大阪大学, 薬学部, 講師 (70207728)
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Keywords | HVJ / リポソーム / 膜融合リポソーム / 膜融合 / 遺伝子導入 / DDS |
Research Abstract |
これまでに細胞融合リポソームに関してはHVJの膜タンパク質を膜に組み込んだ再構成リポソームの試みや、リポソームとHVJの融合について種々の検討が行われてきた。しかし、細胞融合リポソームの物質導入におよぼすリポソーム側の条件等についての検討はない。そこで、膜融合型リポソームの調製および精製法を確立し、DDSにかなう、高い効率で物質導入が可能な細胞融合リポソームの作製方法の確立を試み以下の結果を得たので報告する。まず、リポソーム脂質組成を種々検討したところホスファチジン酸:卵黄レシチン:コレステロール=1:4:5からなる負電荷リポソームを用いた場合、細胞内物質導入効率が最も優れていた。また、HVJと細胞が融合するとき、HVJのHN蛋白質が細胞表面上のシアル酸と結合し、F蛋白質が細胞膜のコレステロールと相互作用を起こし、融合が惹起されると考えられている。そこでコレステロール含量を変化させたリポソーム、またガングリオシド(シアル酸を含む糖脂質)を導入したリポソームを用いて検討したが、どちらも物質導入効率に変化は見られなかった。 また、細胞融合リポソームを製剤として利用する際には、遊離のHVJを完全に取り除き、有効性と安全性、さらに信頼性の高いものにする必要がある。我々は、HVJとリポソームの比重の差を利用して、しょ糖密度勾配遠心法により遊離のHVJとリポソームを除き、細胞融合リポソームだけを完全に精製することに成功した。この完全精製した細胞融合リポソームは電子顕微鏡写真より1枚膜の脂質2重層からなり、HVJの外膜と同様のスパイク構造を有していること、粒子経200〜300nmの均一な粒子であり、体積計算よりHVJとリポソームの1対1の融合体であること、HVJと同等の融合活性を有していること等を明らかにした。 現在、この細胞融合リポソームを用いて遺伝子等の導入量および活性発現効率の定量化の検討を行っている。
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