1996 Fiscal Year Annual Research Report
膜融合型薬物運搬体としての細胞融合リポソームの開発研究
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07557312
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学部, 教授 (00098485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 康央 大阪大学, 薬学部, 助手 (50263306)
中川 晋作 大阪大学, 薬学部, 講師 (70207728)
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Keywords | HVJ / リポソーム / 膜融合リポソーム / 膜融合 / 遺伝子導入 / DDS |
Research Abstract |
将来の細胞性製剤、遺伝子療法さらにはバイオテクノロジー医薬品のDDSを考えた場合、遺伝子や高分子生理活性蛋白質をヒト組織細胞内に自由に、高い効率で導入できる運搬体の開発は、最も重要かつ有効な手段である。我々は昨年度、効率よく細胞膜に融合し、物質導入できる細胞融合リポソームを作製し、その精製方法を確立した。本年度はこの細胞融合リポソームを用いて生理活性蛋白質および遺伝子を導入し、その導入量および活性発現効率の定量化の検討を行い、以下の結果を得たので報告する。まず、細胞融合リポソームの生理活性蛋白質導入活性はジフテリア毒素フラグメントA(DTA)を用い、殺細胞効果を調べることにより評価した。。DTAは細胞外では全く毒性を示さず、また単独では細胞質内に入ることは出来ない。しかし、細胞質内に導入されれば強い殺細胞作用を有しているため、膜融合を評価するマーカーとしては優れた蛋白質である。DTA封入細胞融合リポソームは濃度依存的に殺細胞作用を示し、全ての細胞にDTAを導入することができ、その導入効率はintactなセンダイウイルスと同等であった。細胞融合リポソームの物質導入効率はリポソームに比べて1000倍以上高く、様々な種や組織の細胞に対してもほば同じ効率で物質導入が出来ることを明らかにした。 また、細胞融合リポソームの遺伝子導入活性はモデル遺伝子としてルシフェラーゼ発現プラスミドを用いて検討した。細胞融合リポソームはルシフェラーゼ遺伝子を効率よく細胞内に導入することができ、その発現は遺伝子導入の2日後に最大を示し、4日目まで高い活性を維持した後減少した。また、細胞融合リポソームはわずか1分間の細胞との作用においても、90分間処理の時の35%ものルシフェラーゼ活性を示し、短時間の細胞との接触においても高い遺伝子発現を示すことを明らかにした。 現在、細胞融合リポソームの遺伝子導入ベクターとしての有用性について検討を行っている。
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Research Products
(1 results)