1995 Fiscal Year Annual Research Report
初代培養細胞系における神経細胞死モデルの解析ソフトウェアの開発
Project/Area Number |
07557328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤池 昭紀 京都大学, 薬学部, 教授 (80135558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 武彦 京都大学, 薬学部, 助手 (50271010)
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Keywords | 一酸化窒素 / 画像解析 / グルタミン酸 / 細胞死 / 大脳皮質 / ニコチン / 脳由来栄養因子 / 細膜 |
Research Abstract |
顕微鏡画像をコンピューターに取り込み、コンピューターを用いて細胞を計数するソフトウェアを開発し、ラット胎仔由来大脳皮質および網膜の初代培養細胞を用いた研究に用い、以下の成果を挙げることができた。培養大脳皮質細胞におけるグルタミン酸神経毒性の機序を検討した結果、短時間のグルタミン酸により誘発される神経毒性には一酸化窒素(NO)が重要なメディエーターとして働くことを明らかにした。NOを介するグルタミン酸神経毒性を抑制する神経保護因子の候補物質を探索した結果、ニコチン性アセチルコリンと脳由来栄養因子(BDNF)が強力なグルタミン酸神経毒性抑制作用を持つことを見出した。ニコチン性アセチルコリンはNO神経毒性自体には無効であり、NO生成を抑制することにより神経保護作用を発現することを示唆する知見が得られた。BDNFはグルタミン酸神経毒性と血清除去によるアポトーシス様の神経細胞死の両者を抑制した。BDNFはその高親和性受容体であるTrkBの自己リン酸化を短時間のうちに促進したが、神経保護作用発現には1時間以上の前処置時間が必要であり、さらに、その保護作用がタンパク合成阻害剤のシクロヘキシミドにより抑制されたことなどの知見から、TrkBを介して細胞内で何らかの細胞死制御蛋白の発現を促進することにより神経保護作用を発現すると考えられた。しかし、この点については、今後の検討が必要である。BDNFは、カルシウム・イオノフォアのイオノマイシンの神経毒性を抑制するとともに種々のNOドナーの神経毒性も抑制したことから、NOと活性酸素の反応により生じるラジカル反応による細胞障害を抑制することによりグルタミン酸神経毒性に対する保護作用を発現することが示唆された。さらに、培養網膜細胞を用いた研究において、亜鉛がグルタミン酸神経毒性に対する保護作用を発現することを見出した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ueda, M. et al.: "Alpha2-adrenoceptor-mediated inhibition of capsaicin-evoked release of glutamate from rat spinal dorsal horn slices." Neuroscience Letters. 188. 137-139 (1995)
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[Publications] Shimohama, S.: "Glutmate-induced antigenic changes of phospholipase C-δ in cultured cortical neurons." J. Neuroscience Research. 41. 418-426 (1995)
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[Publications] Maeda, T. et al.: "Patch sensor detection of glutamate release evoked by a single electrical shock." Neuron. 15. 253-257 (1995)
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[Publications] Kikuchi, M. et al.: "Protective action of zinc against glutamate neurotoxicity in cultured retinal neurons." Investigative Ophthalmology and Visual Science. 36. 2084-2053 (1995)
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[Publications] Sawada, H. et al.: "Methylphenylpyridium ion (MPP^+) enhances glutamate-induced cytotoxicity against dopaminergic neurons in cultured rat mesencehpalon." J. Neurosci. Research. 43. 55-62 (1996)
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[Publications] Shimohama, S. et al.: "Dual actions of nitric oxide in N-methyl-D-aspartate receptor-mediated neurotoxicity in the cultured retinal neurons" Annals of the New York Academy of Sciences. 777. 356-361 (1996)
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[Publications] 赤池 昭紀: "最新医学からのアプローチ第12巻NO、第4章-2NOによる細胞の保護と死" メジカルレビュー社、東京都, 194(12) (1996)
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[Publications] 赤池 昭紀: "NO研究の最前線、第3章-3神経細胞死とNO" 羊土社、東京都, 145(5) (1996)