1996 Fiscal Year Annual Research Report
エフェクターとの結合の選択的阻害によるras癌遺伝子物産機能の抑制手段の開発
Project/Area Number |
07557333
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Research Institution | Kobe University School of Medicine |
Principal Investigator |
片岡 徹 神戸大学, 医学部, 教授 (40144472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 有里子 神戸大学, 医学部, 助手 (50233739)
刈谷 研一 神戸大学, 医学部, 助教授 (40263371)
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Keywords | rasがん遺伝子 / GTP結合蛋白質 / 翻訳後修飾 / RaplA / がん抑制遺伝子 / rafがん遺伝子 / アデニル酸シクラーゼ / シクラーゼ総合蛋白質 |
Research Abstract |
1,各種エフェクターを識別して確認するRas変異体の検索を続行し、Raf-1とB-Rafを識別するものを得た。しかし、これらの変異体を用いて各種エフェクターの役割を識別解析する方法には限界を見い出した。 2,蛍光偏光速度法により、種々の1アミノ酸置換変異を持つRasエフェクター領域ペプチド(アミノ番号17-44)が各種エフェクターを識別して結合し、そのRasとの結合を競合阻害することを示した。その特異性はRas蛋白質そのものを用いた場合と同じであった。各種エフェクターの選択的抑制の可能性が示された。 3,昨年度の本研究で発見したRas蛋白質とRaf-1蛋白質Cysteine-rich領域(CRR)との間の新しい相互作用機構に基づき、がん抑制遺伝子物産RaplA(Krev-1)の作用機構を解明した。RaplAはRaf-1CRRに対して翻訳後脂質修飾依存性に非常に強い親和性を持ち、Ras存在下でRas-RaplA-Raf-1の三者複合体を形成することにより、RasのRaf-1CRRへの結合を阻害し、RasによるRaf活性化を抑制する。RasとRaplAの相拮抗する活性が、両者のアミノ酸番号31番の1残基の相互置換(グルタミン酸とリジンの置換)によって決定されることを示した。 4,出芽酵母アデニル酸シクラーゼのRas蛋白質による活性化においてRasの翻訳後脂質修飾(特にファイルネシル化)が必須である分子機構を明らかにした。Rasのファルネシル化は、アデニル酸シクラーゼとの結合親和力には影響が無いが、Rasによるシクラーゼ活性化に必要である。この翻訳後修飾の活性化促進効果には、アデニル酸シクラーゼはシクラーゼ総合蛋白質CAPと結合していることが必要であった。この結果は、CAPがRasに付加されたファルネシル基の受容体であり、翻訳後修飾の影響を仲介している可能性を示した。
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[Publications] M.Shinkai et al.: "Difference in the mechanism of interaction of Raf-1 and B-raf with H-Ras." Biochem.Biophys.Res.Comm.223巻3号. 729-734 (1996)
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[Publications] F.Shima et al.: "Effect of association with adenylyl cyclase-associated protein on the interaction of yeast adenyltl cyclase with protein." Mol.Cell.Biol.17巻3号. 1057-1064 (1997)
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[Publications] K.Kariya et al.: "C.elegans homoligs of ralGDS,AF-6,Cdc25 and phospholopase Cβ interact with Let-60" Worm Breeder's Gazette. 14巻5号. 34-35 (1997)
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[Publications] M.Okazaki et al.: "Synergistic activation of c-fos promoter activity by Raf and Raf GDP dissociation stimulator" Oncogene. 14巻3号. 515-521 (1997)
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[Publications] C-D.Hu et al.: "Coassociatio of RaplA and Ha-Ras with Raf-1 N-teminal region interferes with Ras-dependent activation of Raf-1." J.Biol.Chem.272巻(in press). (1997)
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[Publications] C.Yanagihara et al.: "Association of elongatation factor 1α and ribosomal protein L3 with the proline-rich region of yeast adenylyl cyclase-associated protein." Biochem.Biophys.Rea.Comm.233または234巻(in press). (1997)